1:野口五郎・岩崎宏美の初デュエット『好きだなんて言えなかった』
野口五郎さんと岩崎宏美さん、共に実力派のシンガーとして知られる2人が、2021年11月24日にデュエット曲『好きだなんて言えなかった』をリリースした。1970年代の歌謡番組でたびたび顔を合わせ、1987年のミュージカル『レ・ミゼラブル』日本初演でも共演した2人だが、楽曲を共作するのは初めて。2020年に『今宵☆jazzyに!7』(BS日テレ)で久しぶりに共演し、カーペンターズの『スーパースター』等をデュエットするにあたり、音楽話が盛り上がったことがきっかけになったそうだ。『好きだなんて言えなかった』は“同窓会不倫”をにおわせるような大人のラブソング。最近では珍しくなったミディアムテンポのしっとりした楽曲で、2人の声の表情がありありと浮かび上がる……良い意味で「歌謡曲」らしい魅力あふれる仕上がりになっている。
2:橋幸夫、80歳での歌手業引退を発表 アイドル文化や歌謡曲の近代化に貢献
2021年10月4日に記者会見で、2023年5月3日、80歳の誕生日をもって歌手業を引退することを表明した橋幸夫さん。1960年、17歳のデビューから60年以上、歌謡界の第一線に立ち続けた橋さんに引退を決意させたのは、加齢による喉の衰え。2年ほど前から、低音を響かせようとすると声が割れるようになり、医師の診断を受けたが回復の見込みがないことから引き際を悟ったそうだ。とはいえまだまだ健康で、俳優としての時代劇出演やスプレーアート、大学進学についても意欲を見せる橋さん。引退までの1年半の間に、コンサートツアー「人生は長いようであっという間 夢を持って生きよう!」で全国160カ所をまわることも発表している。
演歌の大御所というイメージのある橋さんだが、デビューした1960年代には舟木一夫さん、西郷輝彦さんらと“御三家”として若者から絶大な人気を集め、流行のエレキサウンドやロックを取り入れた“リズム歌謡”の楽曲をヒットさせるなど、日本のアイドル文化創出や歌謡曲の近代化に大きく貢献した。音楽活動から離れてしまうことは残念だが、その功績はいつまでも色あせない。
3:「きよし」から「kiina」へ 演歌業界ただ1人の“スター”氷川きよし
近年、クイーン『ボヘミアン・ラプソディ』のカバーを披露したり、アニメ『ドラゴンボール超』のオープニングテーマ『限界突破×サバイバー』を担当するなど、話題に事欠かない氷川きよしさん。“演歌界のプリンス”というよりは、ポップスシーンへの進出やセクシャリティーが注目されがちなきらいがあるが、そもそも演歌とは音楽性をもってカテゴライズされたジャンルではない。歌っているのが演歌だろうがポップスだろうが、生きざまを感じられる歌手として、今の氷川さんほど演歌歌手らしい存在はいないのではないだろうか。2021年は全曲ポップスナンバーで構成されたコンサートツアー「氷川きよし『You are you』Release Tour 2021」を開催し、12月14日から15日にかけて東京国際フォーラム ホールAで開催された「氷川きよしスペシャルコンサート2021 ~きよしこの夜 Vol.21~」では名前の「kii」とナチュラル(natural)を掛け合わせた新たなニックネーム「kiina」の衣装ロゴが話題になった。これまでの「きよし」だった自分からの脱皮を図っているのだろう。
演歌業界が衰退の一途をたどる中、ただ1人といってよいほどの輝きを放つ氷川さん。今後、氷川さんがどのような活動を展開し、どのような影響を音楽業界に与えていくのか目が離せない。
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