秋は「竜巻」の季節? 一瞬で家や自動車が吹き飛ぶ被害も
ひとたび発生すると家や自動車が吹き飛ばされ、甚大な被害をもたらすおそれがある竜巻。日本では平均して年に25個程度の発生が確認されています。竜巻は季節を問わず台風や寒冷前線、低気圧に伴って起こりますが、1991年からの統計によると台風シーズンである9月と10月に多く発生していることがわかります。2012年5月6日に茨城県つくば市などで発生した竜巻はF3に分類される国内最強クラスの竜巻でした。当時、日本の上空5500メートルには氷点下21度以下の強い寒気が流れ込む一方で、日射の影響で地上の気温は上昇したため、大気の状態が非常に不安定となり、積乱雲が発達していました。気象庁の報告ではこの竜巻によって200棟を超える住宅が全壊または半壊する、亡くなった人が1名出るなどの被害が出ました。
ちなみに日本では、これまでF4以上の竜巻が観測されたことはありません。
強い竜巻を引き起こす「スーパーセル」とは?
竜巻とは、積雲や積乱雲の下で発生する激しい渦巻きです。積乱雲の底からろうと状の雲が垂れ下がって地上に達した、回転する渦のことを指します。竜巻と似た現象で、運動会などでしばしば見られる「つむじ風」があります。晴れた日に風が渦を巻いてテントなどを吹き飛ばす様子を見たことはありませんか? 竜巻は上空に必ず雲を伴うため、晴れた日に雲を伴わず地上だけで起こる渦はつむじ風です。
アメリカの竜巻はけた違い! 日本で発生が多い場所はどこ?
特にアメリカの中西部は、北極からの寒気団とカリブ海からの暖気団が衝突する地域に当たるため、強い竜巻が多く発生しやすいといわれています。日本では北極からの寒気と南方の暖気が直接ぶつかることはあまりないため、アメリカのような巨大な竜巻が発生しにくいのです。
日本では竜巻はどこでも発生しますが、都道府県別の発生件数を調べると北海道が最も多くなっています。北海道では1991年から2017年にかけて47個の竜巻が発生しています。
竜巻から身を守るには?「竜巻注意情報」が発表されたら取るべき行動は?
それでは、どんな時に竜巻に気を付けるべきなのでしょうか。竜巻が発生するおそれがある時、各地の気象台からは雷注意報や「雷と突風に関する気象情報」が出されます。そして、今まさに竜巻が発生しやすい気象状況になった場合には「竜巻注意情報」を発表し危険を知らせます。特に大勢の人が集まる屋外での行事や高い所での作業やクレーンなどを使用した工事現場などでは安全確保にある程度の時間がかかるため、早めの避難が必要です。真っ黒な雲が近づき周囲が急に暗くなる、ゴロゴロとした雷の音が聞こえ稲妻が見える、ヒヤッとした冷たい風が吹く、大粒の雨やひょうが降り出す、これらはすべて竜巻の起こる予兆です。
屋外では、すぐに頑丈な建物の中に移動してください。プレハブや物置、車庫は吹き飛ばされやすいため危険です。屋内では、窓やカーテンを閉め丈夫なテーブルの下に入るなどして、なるべく身を小さくして頭を守ることが大切です。屋根や2階以上は吹き上げられやすいため、1階の窓のない部屋に移動してください。
竜巻は数日前からピンポイントで予測することは困難です。現状では建物などの被害は防げませんが、身の安全を守るための対策は可能です。気象台などから出される情報に注意し、自分の身は自分で守れるように心がけましょう。