「進路予想図」の正しい見方……台風がどんどん大きくなる!?
夏から秋にかけては台風が一年で最も多く発生する時期です。台風の進路予想図は、テレビやインターネットで頻繁に紹介されますが、実は正しい見方を詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。予報円とは、台風の中心が到達すると予想される範囲のことです。つまり、予想時刻に台風の中心が円の中のどこに入っていてもおかしくありません。予報円が大きいということはそれだけまだ予報のブレ幅が大きいということで、予報が変わる可能性が高いため、最新の情報を確認することが大切です。
赤い線で囲まれた丸い枠は「暴風域」といって、風速25m/s以上の風(走行中のトラックが横転するくらいの強さ)が吹いているか、吹く可能性のある範囲です。暴風域からのびる赤い枠線は「暴風警戒域」で、台風の中心が予報円内に進んだときに、暴風域に入るおそれのある領域を表しています。
黄色い線の丸枠は「強風域」で風速15m/s以上の風(看板などが飛ばされるくらいの強さ)が吹いているか、吹く可能性がある領域です。
こうした図の見方は気象キャスターなどがニュースの解説の中で毎回、丁寧に説明できるといいのですが、限られた時間内に最新の予報を伝えるだけで精一杯なことが多いのが現状です。
台風の「大きさ」や「強さ」はどう決まる?
また、ニュースなどで台風の情報が伝えられるとき、「大型で非常に強い台風は……」のように台風の大きさや強さが頭に付けられているのを見聞きすることが多いと思います。台風の大きさは「強風域」の半径によって決まっています。「大型の台風」とは、強風域の半径が500km以上~800km未満で、「超大型の台風」となると強風域の半径は800km以上になります。東京から大阪までの距離がおよそ400kmなので、大型の台風ともなると、中心からかなり離れている場所でも強い風が吹くおそれがあります。
台風の強さは、中心付近の最大風速が基準です。最大風速が33m/s以上~44m/s未満なら「強い」台風、44m/s以上~54m/s未満で「非常に強い」台風に、54m/s以上になると「猛烈な」台風と表現されます。最大風速が33m/s未満の場合には強さを表現しません。
熱帯低気圧(台風のたまご)の段階から進路予想を発表
また、2020年9月より熱帯低気圧の5日先進路予想図が発表されるようになりました。熱帯低気圧とはいわゆる「台風のたまご」です。熱帯低気圧も台風も熱帯の海で発生することは同じですが、最大風速が17m/s未満だと熱帯低気圧、17m/s以上になると台風と呼ばれます。以前は台風に発達するまで気象庁から詳しい進路予想は発表されませんでしたが、熱帯低気圧のうち、台風に発達する見込みのものについては、台風と同じように5日先までの進路予想図が発表されるようになりました。これによって、早い段階から備えを進めやすくなったのです。
「夏台風」と「秋台風」の違いとは?
夏に発生する台風と秋に発生する台風の大きな違いは、一般的に台風が移動するスピードです。台風は上空の風の流れや周辺の高気圧・低気圧などに伴う風に流されて進みます。夏は偏西風という上空で吹く強い西寄りの風が弱いため、台風の動きは遅くノロノロとしていて進路が定まらず、同じような地域で影響が長引くことがあります。一方、秋になると偏西風が強まり台風の速度が上がります。発生したかと思いきやすぐに近づき急速に天気が荒れることが多いのが秋台風です。さらに、秋雨前線と一緒になり極端な大雨をもたらすこともあるのが特徴です。
ゴルフ練習場の鉄柱が倒れるなど千葉県を中心に記録的な暴風をもたらした「令和元年房総半島台風」や多摩川が氾濫するなど関東地方をはじめとする広範囲に影響を及ぼした「令和元年東日本台風」はそれぞれ9月、10月に上陸した台風です。台風シーズンはまだ続きます。進路予想図を正しく活用し、早めの備えをするように心掛けましょう。