東京五輪の開催期間は台風ラッシュに!?
梅雨空が続く中、東京五輪の開幕まであとわずかとなりました。真夏の東京で迎える五輪で当初から心配されていたのが、厳しい暑さともうひとつ「台風」です。台風は一年中発生しますが、7~10月は月に3~5個程度と集中して発生し日本の天気に大きく影響します。歴史に残る「五輪台風」とは?
このため、例年通りだとちょうど東京五輪の開催期間が台風ラッシュの時期に重なるのではないかと考えられます。「オリンピック」と「台風」と聞けば、気象関係者の間で頭によぎるのは1960年の「五輪台風」です。
こちらは今からさかのぼること約60年、昭和35年の8月23日21時の天気図です。
日本列島の周辺に左から台風17号、15号、16号、14号、18号と5個の台風が並んでいます。ローマ五輪開催直前のタイミングであったため、マスコミは「五輪台風」と呼び報じました。4年後には東京大会が控えていたため、当時も大きな話題になったそうです。
気象庁では毎年1月1日以後、最も早く発生した台風を第1号とし、台風の発生した順番に番号をつけていますが、それぞれに名前もついています。
五輪台風にはアメリカが名付けた女性名が使用され、14号から順番にベス、カルメン、デラ、エレイン、フェイです。
「クジラ」や「ヤギ」、不思議な台風の名前はどう決まる?
さて、この台風の名前について不思議な印象を持ったことはありませんか? ニュースや気象情報では番号が使用されることが多いですが、近年、インターネット上で台風のユニークな名前が話題になることがあります。
たとえば「クジラ」「ウサギ」「ヤギ」「コグマ」、これらはすべて台風の名前として使用されていることばです。どのようにして名づけられているのかというと、台風委員会と呼ばれる組織で決められています。台風委員会は台風の影響を受けるアジアを中心とした14の国や地域で構成され、各国の気象機関が用意した名前をリスト化し、台風が発生した順に名前が使われます。
日本が用意した名前は先述したクジラやウサギのほか、トカゲ、コト、カジキなどといったものがあります。これらはすべて「星座」の名前から選ばれています。
他にはどんなものがあるかというと、タイが用意した名前、「プラピルーン(雨の神)」や中国の「フェンシェン(風神)」、アメリカの「アイレー(嵐)」は雨や風など荒天をもたらす台風にぴったりだと思えます。マカオが挙げたのは「バビンカ」という名前。これは「プリン」という意味です。韓国では「たぬき」の意を持つ「ノグリー」、カンボジアでは漁師の意の「ネサット」などユニークなものも沢山あります。
これらの名前は全部で140個あり、台風は年間25~26個程度発生するため、5~6年で一巡します。
6月23日に発生した台風5号の名前はラオスが提案した「チャンパー」で、由来は「赤いジャスミン」です。次に台風6号が発生すると、マカオが準備した「インファ(花火)」となります。
教訓を後世に伝えるため名称が定められる台風も
また、甚大な災害をもたらした台風や大雨などの自然現象には、災害発生後の復旧活動を円滑に行ったり、災害における経験や貴重な教訓を後世に伝承したりすることを目的に、気象庁が名称を定めています。
記憶に新しいのは2019年9月に千葉県を中心に記録的な暴風が発生した台風15号、翌10月に多摩川や千曲川など大きな河川の氾濫が発生した台風19号ではないでしょうか。これらふたつの台風はそれぞれ「令和元年房総半島台風」、「令和元年東日本台風」と定められました。このように台風へ名称がつけられたのは、1977年の「沖永良部台風」以来のことでした。
今年はまだ台風による大きな影響は出ていませんが、夏から秋にかけて台風に注意が必要な時期は7月から10月にかけておよそ4ケ月と長い期間にわたります。あらためてハザードマップの確認や備蓄品の準備など、できる備えを万全にしておきましょう。