三菱UFJリサーチ&コンサルティングは「2021年夏のボーナス見通し」を発表しました。厚生労働省の「毎月勤労統計」や内閣人事局資料などをもとに予測したもの。
民間企業(事業所規模5人以上)のボーナス支給額は、前年比-2.3%の平均37万4654円、国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)のボーナス平均支給額は前年比-2.8%の66万1100円と、9年ぶりに減少すると予測しています。
民間企業はコロナ禍の影響で夏ボーナスも減少
厚生労働省「毎月勤労統計調査」ベースで見た民間企業の2021年夏ボーナスは、新型コロナウイルス感染拡大の影響が継続し、2020年冬のボーナスに続き減少が見込まれています。
ボーナスが支給される労働者数は、新型コロナの影響が大きい業種を中心に3988万人(前年比-1.9%)と2年連続で減少する予想。これに伴い、支給労働者割合77.5%(前年差-2.0%ポイント)と2年連続で低下し、1990年以降の最低水準を更新するとみられています。
ボーナスを取りやめる企業も
ボーナスが支給されなかった事業所の労働者も含む全労働者ベースの1人当たり支給額を確認すると、前年比-4.8%と大幅な減少が見込まれています。
同社では「企業業績は足元で急速に回復しているものの、ボーナスに反映されるまでにラグがあるため、今夏のボーナスには大きく悪化した2020年春先から夏場にかけての業績が反映される」としています。
業種別では非製造業の減少幅が大きい
業種別では、製造業が前年比-4.0%の47万1797円、非製造業が前年比-2.0%の35万3722円と、ともに減少する見込みです。
全労働者ベースの1人当たり支給額では、コロナ禍の影響が顕著な非製造業(前年比-5.2%)の減少幅が、製造業(同-2.8%)よりも大きくなっています。
公務員、コロナ禍の影響は
内閣人事局の発表によると、国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)の2020年冬のボーナス(期末・勤勉手当)は前年比-5.0%の65万3600円と、3年連続で減少しました。
2021年夏のボーナスは、東日本大震災後に復興財源の確保を目的にボーナスが切り下げられた2012年以来、9年ぶりに減少。平均支給額は前年比-2.8%の66万1100円になると予測されています。
職員の平均年齢低下による基本給減少に加え、2020年に改正された給与法で、年間を通したボーナス支給月数が4.39カ月と、0.05カ月引き下げられたことが背景にあります。
なお、夏のボーナス額を決める2020年の改正給与法では、2019年8月~2020年7月までの民間のボーナス支給実績が反映されているに過ぎず、コロナ禍で民間企業の業績が悪化し、それによってボーナスが大きく減少した状況を完全には織り込まれていません。
同社では「コロナ禍が公務員のボーナスの下押し要因としてはっきりと表れるのは、今年の冬以降となるだろう」とみています。