2021年度の入試は、コロナ禍での受験、大学入試改革初年度という2大要素が受験生を直撃しました。
そんな特殊な状況下で行われた入試ですが、国公立大学で数年ぶりに医学部の志願者数が増加するなど、医学部人気の復活の兆しが見えていると医系専門予備校メディカルラボが伝えています。
国公立大医学部の志願者数は7年ぶりに増加!
医系専門予備校メディカルラボが3月29日に発表した2021年度医学部(国公・私立大)入試についての動向速報によると、2021年の共通テストの出願は、前年よりも約2.2万人減少しているのに対し、近年減少傾向にあった国公立大学医学部(前期日程)の志願者数は、わずかながら増加しました。
地区ごとに見ると、前年比を下回ったのは北海道、東北、北陸、九州。コロナ感染拡大が著しかった関東、近畿、東海地区の学生が、遠い地区の受験を控えたことも影響していると推測されます。
最も増加が大きかった四国は、2021年度から香川大学と愛媛大学が後期日程を廃止したことで、前期定員が増えたことが影響していると考えられます。
私立大医学部で志願者数増加の大学……東北医科薬科大は前年比107%
3月1日時点で公表していた私立大学全31大学中、18大学の志願者数と動向を見ると、私立大学医学部全体の志願者数は前年比94%で減少しています。
志願者数が増加した大学には、前年より他大学との1次試験の重複数が減少し、1次試験を大学所在の都府県以外の複数会場に設定、という2つの特徴が見られます。
前年比107%の東北医科薬科大学は、1次試験が単独実施になり、札幌、東京、大阪を加えた全国4会場で実施しました。前年比102%の獨協医科大学は、1次試験を2日程で設定、前年比100%の国際医療福祉大学は1次試験を全国4都府県で実施。前年比132%の日本大学N方式は、全国20都道府県で1次試験を実施しました。
私立大医学部は、1次試験の会場数と他大学との重複数が増減を分けた
逆に、志願者数が減少した大学には、2020年度よりも他大学との1次試験の重複数が増加、1次試験が大学の所在する都府県のみで実施、という特徴が見られました。
前年比92%の東京医科大学は、1次試験の重複数が増加し、東京のみで実施しています。新型コロナの感染が拡大していた東京でしか入学試験を実施しない医学部受験を地方の学生が避けたケースが多かったことも推測されます。
減少を続けていた国公立大学医学部の前期日程の志願者数は、増加に転じました。それでも地区別にみると、コロナ禍の影響で地方の医学部志願者数は減少しています。
2021年度は、大学入試改革初年度という大きな節目であったのに加えて、コロナ禍という例年にない特殊な状況下での入試でした。大学の所在地なども志願者数を左右する大きな条件であったことがうかがえる結果となりました。
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