【図版あり】令和元年度「国語が乱れているか」の意識調査

時代とともに進化する日本語について、「乱れている」「乱れていない」どちらのイメージを持ちますか?今回は、文化庁が毎年行っている調査「国語に関する世論調査」から、令和元年度に実施された「国語が乱れ」についての意識調査の最新版を紹介します。

最近の日本語は乱れている?

インターネットサービスが急速に発展する昨今。SNSを中心に、毎年新たな言葉が誕生しており、言葉の使い方で世代間のギャップを感じる人もいるのではないでしょうか。時代とともに進化する日本語について、「乱れている」「乱れていない」どちらのイメージを持ちますか?

今回は、文化庁が毎年行っている調査「国語に関する世論調査」から、令和元年度に実施された「国語が乱れ」についての意識調査の最新版を紹介します。
 

国語が乱れていると思うと回答した人は6割以上

まず、2020年に実施された「国語が乱れているか」という質問に対する回答が下記です。


「非常に乱れていると思う」と回答した人は10.5%、「ある程度乱れていると思う」と回答した人は55.6%となり、国語が乱れていると感じている人は全体の66.1%を占めています。
 


上のグラフは、「国語が乱れていると思うか」という質問を時系列的に示しています。平成11年度には30%の人が「非常に乱れていると思う」という回答をしたのに対し、令和元年度では10%と約20%減少しています。

一方で、「余り乱れていないと思う」の回答は平成11年度の9.6%から令和元年度の27.8%と20%弱増加し、「乱れていない」と回答した人(「全く乱れていない」との合算値)の割合が30%を超えたのは調査開始以来初めてとなりました。
 


最後に、「国語が乱れていると思うか」について、年齢別に集計したものを、平成26年度と令和元年度で比較します。


どの年齢階級でも、平成26年度から令和元年度の間に「乱れていると思う」という回答は減少し、「乱れていないと思う」という回答が増加しています。


最も変化幅が大きいのは40代で「乱れていると思う」が10.6%減少、「乱れていないと思う」が12.3%の増加となっています。一方、最も変化幅が小さいのは60代で「乱れていると思う」が0.3%減少、「乱れていないと思う」が0.8%の増加となっています。
 

国語が乱れていると思うポイント

つづいて、「乱れていると思う」と回答した人に、どのような点で乱れていると思うか、複数回答で収集したものが下記となります。
 


上位を見てみると、「敬語の使い方(63.4%)」「若者言葉(61.3%)」など、日常生活で使われる言葉に対して気になると回答した人が多い結果になりました。
 


最後に年代別の比較です。どの年齢階級でも「敬語の使い方」が60%前後の割合で乱れていると指摘しています。


対して「外来語・外国語の多用」を指摘しているのはほとんどの年齢階級で20%以下(70歳以上のみ22.1%)という結果になりました。


年齢階級別に見てみると、16~19歳の階級では、「若者言葉」が突出し(84.4%)、20代の結果(53.3%)とは30%以上異なっています。


他には、「手紙や文章の書き方」が20代と60代で27.8%、「発音やアクセント」が16~19歳と50代で22.8%の差があり、年齢階級で乱れていると思うポイントが異なっていることがわかります。
 

乱れていないと思う人の理由

次は、先ほどとは逆に「国語が乱れていない」と思っている人を対象とした調査です。まず、乱れていないと思う理由に対する答えがこちらです。
 


最も多かった回答は「言葉は時代によって変わるもんだと思うから」で39.0%という結果になりました。続いて多かったのは「多少の乱れがあっても、根本的には変わっていないと思うから(29.9%)」となり、この2つの答えで全体の約70%を占めています。
 


続いて、上のグラフは、乱れていないと思う理由を時系列的に示したものです。「言葉は時代によって変わるものだと思うから」という回答が増加傾向にあり、平成11年度からは約8%増加していることがわかります。
 

【具体事例】次の言い方が気になるか

文化庁の調査では毎年、具体的な敬語が列挙され、その言い方が気になるかどうか、調査されています。令和元年度に実施されたのは、下記の8つの言い方についてです。

〇令和元年度「言い方が気になるか」で調査された敬語の表現

  • 先生は講義がお上手ですね
  • 就職はもうお決まりになったのですか
  • 誠に申し訳なく、深く反省させていただきます
  • 規則でそうなってございます
  • 昼食はもう頂かれましたか
  • お客様が参られています
  • お歩きやすい靴をご用意ください
  • こちらで待たれてください
     

過去実施された、同じ敬語表現への調査と令和元年度の回答との比較を示したのが下記のグラフとなります。
 


「気になる」という回答が最も多かったのは「(4)規則でそうなってございます」となり、令和元年度で81.5%、平成11年度で73.1%となりました。一方で、最も少なかったのは「(1)先生は講義がお上手ですね」で令和元年度は32.4%、平成10年度で27.5%となっています。

過去との比較で最も「気になる」という回答が増加したのは「(5)昼食はもう頂かれましたか」で13.7%の増加となりました。
 


最後に、年齢別の比較です。「(8)こちらで待たれてください」は、どの年齢階級でも80%程度の人が気になると指摘しています。


一方、最も数値が低かったのは「(7)お歩きやすい靴を御用意ください」となり、どの年齢階級でも40%以下となっています。


以上、今回は、文化庁の「国語に関する世論調査」から、令和元年度の人々が「国語が乱れていると思うか」という意識調査を時系列、年齢階級別に比較し紹介しました。
 

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