ID/パスワードの管理、とにかく面倒ですよね。同じID/パスワードの使いまわしは危険なので使うサービスごとに変えてはみたものの、「あれ、このSNSのパスワードってなんだっけ」なんてこともしばしば。
そんな人に朗報です。最近、100円ショップで「パスワード管理ノート」なるものが売っていて、使いやすいとSNSなどで話題なのだとか。ダイソー、キャンドゥ、セリアで買えて、見てみたら確かにとても使い勝手が良さそうなノートです。
シンプルなデザインで、見開き1ページに4サイト分のID/パスワードやメールアドレスが管理できる仕様。1冊30~38ページ(※商品によりページ数が異なります)なので60サイト以上の情報を書き込めて、だいたいの人はこのノート1冊だけでID/パスワードの一元管理ができちゃいそうです。便利ですね、これが100円とは!
ただ、気になったことがありました。
「このノートを紛失したらおしまいでは……?」
Twitterでは同じく「このノートを紛失するとこわい」「パソコンにID/パスワードを付せんで貼るレベルのアウト」といった声が散見されます。
一見便利そうですが、これって本当に使って大丈夫なのでしょうか? そもそも紙でID/パスワードを管理するってアリなの? 今回はそんな疑問を、All Aboutのウイルス対策・セキュリティソフトガイド齋藤 実さんに聞いてみました。
「パスワード管理ノート」はセキュリティの専門家から見てアリ?
――「パスワード管理ノート」のように、紙を使ったアナログ手法でパスワードを管理することは、そもそもセキュリティ的に大丈夫なのでしょうか?
齋藤さん:最近ではあまり見かけなくなりましたが、新規のアカウントを作るときにパスワードを紙に書かないでという案内が普通でした。そのため、常識やマナーではないのですがパスワードを書いて良いのか心配という方もいらっしゃるかと思います。
しかし、どのような方法でもリスクは付いて回ります。セキュリティとは決まりきったものではなく、リスクをコントロールすることです。パスワードを手書きで管理するという方法もアリです。
ちなみに、パスワード管理ノートでしたら自宅での利用を想定して、リスクは家族や他人に見られることでしょう。ただ今どきのサービスでしたらパスワードのほかにスマホでも本人確認するような二要素認証が提供されています。二要素認証をお使いいただければ犯罪者に狙われない限り事故は起きません。
パスワード管理ノートは銀行口座の通帳などと同様で、人目につかない場所に保管していただければ十分です。
――1冊で複数のパスワードをシンプルに管理できる「パスワード管理ノート」について、正直どう思いますか?
齋藤さん:そもそも個人で使っているアカウントには終活といいましょうか、死んだらどうなるリスクがあります。手書きの電話帳や年賀状が残っている場合は故人の親しい関係の人にたどり着けると思いますが、情報がデジタルだけになっているとかなり難しいです。
遺族は探して連絡とってあげようとなるのが常ですから、例えばパスワード管理ノートのサイト名にFacebook、メモに「鈴木さんと田中さんには世話になったと伝えて」というようなことを書いておくのもいいかもしれませんね。震災やコロナと何が起きるか分からない時代です。そういう終活的な使い方もアリですね。
――これから「パスワード管理ノート」を使おうと思っている人に向けて、何か注意点などありましたらメッセージをお願いします。
齋藤さん:もしパスワードを紙に書かないでという利用規約があるサービスについては、パスワード管理ノートに書くことと書かないことでどちらが自分にとって不利益なのかを判断したうえでお使いいただければと思います。
――ありがとうございました!
うまく活用すれば「デジタル終活」にも役立ちそうな「パスワード管理ノート」。取り扱いに注意して、便利に使っていきたいですね。
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