韓国で人気のブランドアパートとは?

日本では一戸建てが人気ですが、アパート(韓国ではマンションに相当)を好む人が多いのが韓国。特にブランド化された高級アパートに憧れる人も多く、どのブランドで暮らすかが社会的ステータスとなるほど。それほど人気のブランドアパートとはどんな魅力があるのでしょうか。

韓国で人気の「アパート」は、日本のマンションに相当

飛行機からソウルの風景を見たことがあるでしょうか。上空から俯瞰すると、鉛筆のように長く伸びるアパート群が眼下に広がる様子を見ることができます。この独特な光景を見て、「ああ、韓国に来たんだ」と実感する人も多いのでは。

韓国でアパートというと、日本で言うところのマンションに相当します。 多くの場合20階以上ある高層で、50階以上ある超高層アパートも珍しくはありません。有名建設業者が建てるブランドアパートの場合、複数の棟から成るアパート団地として建設される点も特徴です。

他に、ヴィラ(日本のアパートに相当)、ワンルーム、オフィステル(ワンルームの一種。商業施設を備える)、単独住宅(一戸建て)など、様々な住居形態がありますが、アパートの人気は別格です。

2019年の人口住宅総調査によると、10軒中6軒はアパートで、住宅全体のうちアパートが占める割合は62.3%にもなります。暮らしやすさや、万全なセキュリティ対策はもちろん、資産価値が高いため不動産投資目的でアパートを購入する人もいます。

有名総合建設業者の多くが自社ブランドのアパート建設をしており、 一例を挙げると、GS建設のジャイ、サムスン物産のレミアン、現代建設のヒルステート、デリム産業のeピョナンセサン、ロッテ建設のロッテキャッスルなどがあります。

居住アパートのブランド名や地価から、そこに暮らす人の生活水準が簡単に予想できる構造は日本と比較にならないほど顕著。消費者は立地条件はもちろんですが、それ以上にブランド名で購入を決めるという傾向があるほど、ブランドアパートに住むことが一種の社会的ステータスともなっています。
 

快適な住空間が保証されているブランドアパート

韓国のアパートは多くの場合20坪~60坪台(※)で展開されており、平均的な大きさは30坪台の3LDKです。

(※)1坪約3.3平方メートル。不動産表記上、面積は平方メートルで表すことになっていますが、実生活では昔から利用されてきた坪数(평수)の方がよく使われています。

室内に廊下はなく、玄関すぐの場所からリビングが広がるスタイルが多め。窓は基本的に二重窓で、床暖房が完備されています。

バスルームはトイレと洗面台、バスタブ(シャワー)が一体化した3点式ユニットバスで、これが2セットある場合もあります。

また、日本のマンションは屋外に突き出した形でベランダがありますが、韓国のアパートはサンルーム。屋外のベランダに慣れている日本人としては若干閉塞感を感じますが、天気に関係なく洗濯物を干せることや、直接風にさらされないので管理がしやすいという利点があります。ちなみに、日本でよく見かけるベランダの手すりに布団を干している光景は、韓国ではほとんど見られません。

どのブランドアパートにも必ず設置されているのが、インターフォン、室温・床暖房の調整、警備室への連絡、防犯カメラの確認など、あらゆる機能を搭載するホームシステムパネルです。

エレベーターを自分のフロアまで呼び出しだり、自家用車がアパート内に入ると到着を知らせるアナウンス、電気や水道の使用量、アパートの公示などの確認ができます。

別の世帯に連絡ができる機能もあり、騒音などの苦情を相手方に伝える際に使用されることも。世帯間トラブルを避けるために、まず警備室や事務室に連絡し、職員から相手方にインターフォンを通して間接的に苦情を伝えてもらうという方法が一般的ではありますが、中にはこの機能を利用し、直接相手方に訴える人もいます。

日本では考えられないことですが、室内にはスピーカーが内蔵されており、警備室や管理事務所から各世帯に放送が流せるシステムもあります。地震や台風などの災害時、アパート内の工事や行事の連絡、騒音やゴミ捨てのルールに関する注意喚起の放送などが流れます。

特に騒音はアパート社会の韓国では深刻な問題。注意を促す放送はどのアパートでも定期的に行われています。

台風で警報が出た際は、小・中学校の休校案内が流れることも。韓国の住居と学区の関係上、アパート団地付近には必ず学校があります。大きなアパート団地があるエリアの場合、アパート団地2つ程度で、1つの小学校分の生徒数が確保されることもあるため、全校生徒の半数以上が同じアパートに住んでいるというケースも珍しくないのです。

ちなみに、COVID‑19のパンデミックでステイホームが続いた際にも、休校のお知らせや、感染予防を促す放送が流れました。

アパート団地内の共有スペースが魅力!

エレベーターは各階2世帯で1基なので、玄関前がざわつくことはありません。駐車場は地下にあり、地上では別々の場所に建っている複数の棟も全て地下でつながっています。そのため、冬の寒い日や雨天時には、地下から別の棟に移動することもできます。最近は住民の安全のため、地上は車両通行禁止とするアパートが増えつつあります。

遊具が設置された公園、 庭園、図書館、集会所、中高生のためのスタディルーム、プール、フィットネスセンター、スクリーンゴルフ練習場などの施設もあります。 朝食ビュッフェが食べられるレストラン、パーティールーム、サウナなどがある超高級アパートも。こういった施設があることは、アパートで暮らすうえで大きなメリットです。アパート側が運営する施設ではありませんが、多くの場合、オリニチプという保育施設が団地内の一室に入所しています。敷地内で子どもを預けられるという点で共働き・子育て家庭を中心に人気があります。
 

多くの人が暮らすアパート団地の周辺には自ずと商業施設が集まってくるという点もアパートが人気の理由の一つ。敷地を一歩出ると、コンビニ、クリーニング店、カフェ、レストラン、塾、病院、フィットネスセンター、サウナ、映画館などがあるという好条件の環境があります。中には大型(大規模スーパー)マートがアパートの1階や地下に入店しているケースも。ブランドアパートには、便利な生活圏までもが約束されるという付加価値があるわけです。
 

管理が行き届いており、満足度が高い

アパート団地に入る各ゲートには警備室が配置されているほか、敷地内に管理事務所があります。警備室には警備員が常駐しており、居住者以外の車が進入する際のナンバーチェックや、定期的な見回りなどを担当しています。

不在時に小包みなど配達があったときは、警備員が代わりに荷物を預かってくれる点も住民にとっては有難いところ。返品や交換が必要な際も、代わりに業者に手渡してくれます。荷物の受け渡しを仲介してくれる人がいる環境は、仕事で家を不在にしがちな人にとってとても重宝するサービスです。

警備室とは別に、各世帯の管理費やアパート維持に関する諸々の業務を担当する管理事務所もあり、修理を専門とする職員も常駐しています。家のドアや照明などの不具合があった場合、管理事務所に連絡すると担当者が修理に来てくれます。外部の業者に依頼するとなかなか来てもらえず待たねばならないことを考えると、すぐに駆けつけて修理してもらえるのは助かります。

さらに、アパート棟内は、清掃担当者が毎日全フロアを掃除をしているので常に清潔。団地内の至る所に監視カメラがありますし、警備員が定期的にバイクで巡回して安全確認を行っているのでセキュリティ面でも安心です。

もちろんこれら全ての維持費用は住民の負担ですが、高級感、暮らしやすい環境、安全・衛生面においても管理が行き届いているブランドアパートはとにかく人気。日本では頑張って働いて、いつかマイホームを……と夢見る人が多いですが、韓国では有名ブランドの高級アパートを購入するために頑張って働く、という人が大勢いるのです。

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