ウェディングドレスは赤? 離婚しても取り消せる? 中国の結婚事情

結婚が人生の一大事なのは、中国人も同じなのですが、結婚のルールや習慣、考え方など、日本とはかなり違うことがいくつもあります。ここでは、その代表的なものをピックアップしてご紹介します。

戸籍が結婚の重要条件!?

中国の結婚証明書。パスポートサイズで夫婦それぞれに発行。中には二人で写っている写真が貼られている

戸籍制度があるのは、世界広しといえども日本、中国、台湾のみ。かつては韓国にも戸籍制度は存在していたのですが、2007年年末に撤廃されました。

同じ戸籍制度のある日本において「結婚するなら東京戸籍の人」と言う人はいませんが、中国では「結婚するなら北京戸籍の人」と言う人は少なくありません。

中国の戸籍は、日本のように自由に移動できるものではありません。これは、農村部から都市部への人口流入を防ぐためで、実質、引っ越しても、居住地の戸籍が取得できないため、教育や就職、医療、年金、住宅購入などの面で制限を受けることになります。

たとえば、大学入試の際、地方戸籍の学生の合格最低点が現地戸籍の学生より高く設定されていたり、保障性住宅(低所得者向けの安価な住宅)は、その地の戸籍を有するものだけが購入できたりなどなど。

中国には上海、広州など大都市はいくつもありますが、政府の保護が手厚く、中国最高峰の大学がいくつも存在する北京がやはり一番人気。そのため多くの人が北京戸籍の人との結婚を希望するわけです。
 

中国の法定結婚年齢は世界一晩婚!?

彼女のバッグを背負う中国男子。中国では優しい男子と強い女子のカップルが少なくない

中国では18歳で成人になり、結婚は男性が22歳、女性が20歳になってからと決められています。「え!ずいぶん年齢が高い」と驚いた人も多いのでは? それもそのはず、中国の法定結婚年齢は、世界で最も高いんです。

ちなみに、世界の平均的な法定結婚年齢は18歳。日本は来年2022年4月1日から施行される「民法の一部を改正する法律」で、成人年齢を18歳に引き下げ、婚姻可能年齢は男女ともに成人となる18歳になります。
 

中国のウエディングドレスは赤!

中国で“白”は葬儀の色なので、白い婚礼衣装を反対する年配の方は多い。やはり中国風の赤い婚礼衣装が定番

中国の結婚式カラーといえば“赤”。中国では慶事を“紅事”というぐらい、赤は縁起の良い色であり、人生の一大事である結婚は、赤一色でお祝いするというわけです。

もちろん、花嫁が着るウエディングドレスも赤です。最近は、欧米風の白いウエディングを選ぶ若者も増えてきましたが、それでもお色直しは伝統的な赤の衣装を着るパターンがほとんどです。
 

中国は夫婦別姓、兄弟で苗字が違うことも!?

2016年から二人っ子政策が開始されるも、教育費が高すぎて出産率はあまり伸びていない

中国では結婚しても夫婦別姓が基本で、生まれてくる子どもは一般的には父親の苗字を名乗ります。けれど、「一人っ子政策」で生まれた男女が結婚した場合、どちらも互いの家の唯一の後継者であり、生まれてくる子に家の名を継がせたいと考える女性も現れるように。

2016年1月に一人っ子政策が廃止され、二人目の子どもを持つことが認められるようになると、法的には、子どもは両親どちらの姓をとってもいいわけなので、まだまだ稀なケースではありますが、二人の子どもにそれぞれ父親と母親の苗字をつけるなんてこともあるのです。
 

離婚のクーリングオフ!?

一人っ子として「小皇帝」「小公主」としてわがまま放題に育った新世代は、我慢することが苦手

最後は、今年2021年1月1日から実施されたばかりの「離婚のクーリングオフ(中国語:離婚冷静期)」についてです。離婚届を出してから30日以内にどちらかが望めば、撤回できるようになりました。

これは一人っ子政策でわがまま放題に育った新世代の離婚率の増加に歯止めをかけようというもの。この新制度は多くの人の関心を集めており、「衝動的な離婚を防げる」「離婚の自由を奪う」「怖くて結婚できなくなる」などなど、様々な意見が飛び交っています。実際に数年後、離婚率はどう変化するのか――興味深いものです。

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