「貴ちゃんねるず」で飛び出した興味深い説とは?
突然ですが、あなたは「貴ちゃんねるず」を知っていますか?
とんねるずの石橋貴明氏が6月に動画配信サイトYoutube内で自身のチャンネル「貴ちゃんねるず」を開設。往年のハチャメチャぶりはもちろん、真摯にスポーツを語る様子が視聴者にウケ、開設からわずか3ヵ月後にはちゃんねる登録者数が100万人を超えるなど、その人気はとどまるところを知りません。
そんな貴ちゃんねるずで9月21日に配信された「新コーナー石橋班(は~ん)杉谷よ、右と左、悪さをしてるのどっちなんだ!?貴ちゃんスポーツニュース2020」という動画内で、石橋氏は今季のプロ野球の成績を見ながら興味深いことを語っていました。
「9月20日の時点で3割を打っている打者はセ・リーグで8人、パ・リーグは6人。その中で右投げ左打ちの選手はセ・リーグ5人。パ・リーグはなんと6人全員が右投げ左打ちでした(中略)。もしかすると本来の利き腕である右手でリードして、左手は添えるだけにするのがトレンドなのかも」
ゴルフでもスムーズなスイングをするために左利きの選手があえて右で打つというケースは少なくないという石橋氏。それが野球にも当てはまるのでは?という仮説を唱えたのです。
ちなみに話はこの後、右投げ両打ちの杉谷拳士へと飛び火。9月21日時点で打率.211と伸び悩む杉谷に対し「右と左、どっちが悪さをしているんだ!」と最後は笑いに変えましたが、確かにこの配信から1ヵ月半が経過した11月6日現在、セ・リーグの3割打者は7人中5人(佐野恵太、梶谷隆幸、青木宣親、村上宗隆、高橋周平)、パ・リーグは4人全員(吉田正尚、柳田悠岐、近藤健介、西川遥輝)と右投げ左打ちの打者が圧倒的な好成績を残しています。
果たして、本当に右投げ左打ちの打者が現在のトレンドの最前線なのか……調べてみました。
右投げ左打ちの打者が年々増加も
調べてみたのは1970年から2020年まで10年ずつで区切り、その年ごとの3割打者の投打をチェック。近年に近づけば近づくほど右投げ左打ちの打者が増えていけば説立証となりますが……。
▼年代別、3割打者の内訳(セ・リーグ)
年代 | 3割打者の人数 | 右投右打 | 右投左打 | 右投両打 | 左投左打 | 左投右打 | 左投両打 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1970年 | 1人 | - | - | - | 1人 | - | - |
1980年 | 8人 | 3人 | 1人 | 2人 | 2人 | - | - |
1990年 | 10人 | 7人 | 2人 | 1人 | - | - | - |
2000年 | 9人 | 3人 | 4人 | 1人 | 1人 | - | - |
2010年 | 14人 | 9人 | 5人 | - | - | - | - |
2020年 | 7人 | 1人 | 5人 | - | 1人 | - | - |
※2020年は11月6日終了時点
まずはセ・リーグの歴代打者から。1970年は左投げ左打ちの王貞治しか打率3割に到達できませんでしたが、それ以降は年を追うごとに右投げ左打ちの打者が増加。これを見ると、石橋氏の説は正しいのがわかります。
ただ、右投げ左打ちの打者以上に目立ったのが、ベーシックな右投げ右打ちの打者の躍進。2020年こそ、宮崎敏郎しか打率3割を超えていませんが、それ以外ではコンスタントに輩出。中でも2010年は首位打者こそ右投げ左打ちの青木宣親が獲得しましたが、この年の打率3位だったマートンをはじめ、9人の打者が打率3割超えを達成するなど、右の強打者が躍進していることがわかります。
流行の最先端はパ・リーグに!?
続いてパ・リーグの年代別成績も見ていきましょう。
▼年代別、3割打者の内訳(パ・リーグ)
年代 | 3割打者の人数 | 右投右打 | 右投左打 | 右投両打 | 左投左打 | 左投右打 | 左投両打 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1970年 | 7人 | 4人 | 1人 | - | 2人 | - | - |
1980年 | 14人 | 4人 | 3人 | - | 7人 | - | - |
1990年 | 5人 | 3人 | - | 1人 | 1人 | - | - |
2000年 | 8人 | 1人 | 3人 | 2人 | 2人 | - | - |
2010年 | 13人 | 6人 | 6人 | 1人 | - | - | - |
2020年 | 4人 | - | 4人 | - | - | - | - |
※2020年は11月6日終了時点
セ・リーグと比べ、左打者の躍進が目立つパ・リーグ。1970~80年代は左投げ左打ちの打者が隆盛を極めましたが、2000年代に入ると右投げ左打ちの打者が躍進。2000年以降の3割打者の内訳を見ると、右投げ左打ちの打者が最も多くの割合を占めていることになります。
ちなみにこの20年で打率3割超えを達成した打者と言えば、小笠原道大やイチローなど球界を代表する打者ばかり。特にこの傾向が顕著になりだした2010年以降、日本シリーズでパ・リーグのチームが優勢な点を考えてもパ・リーグの方が流行の最先端と言えるかもしれません。