今季のセ・リーグを盛り上げた若手投手が争う!
まもなくシーズンも終盤。今季はコロナウイルスの影響で開幕が2力月遅れるという異例のシーズンとなりましたが、若手の選手たちが例年以上に台頭。タイトル争いも白熱し、中でも注目を集めているのがセ・リーグの新人王争いを引っ張る戸郷翔征(巨人)と森下暢仁(広島)の2人です。
戸郷は2年目、森下は1年目の若手投手ですが、ともにチームの先発ローテーションに定着し、勝ち星を量産。早くもチームにはなくてはならない存在となりました。それだけにどちらが新人王を受賞するかがプロ野球ファンの議論の的となっています。
そこで、2人の成績を見つつ、どちらが新人王を受賞するか予想してみました。
各スタッツは森下に軍配!
まずは2人の成績を見比べてみましょう。
▼戸郷と森下の成績(10/24日現在)
戸郷翔征 | 森下暢仁 | |
---|---|---|
プロ年数 | 2年目 | 1年目 |
年齢 | 20歳 | 23歳 |
登板数 | 16 | 17 |
勝利数 | 8 | 9 |
敗戦数 | 5 | 3 |
勝率 | .643 | .750 |
防御率 | 2.58 | 2.04 |
奪三振数 | 94 | 117 |
完投数 | 0 | 2(完封1) |
投球回数 | 90.2 | 114.2 |
チーム順位 | 1位 | 5位 |
森下が9月24日に登板したため、登板数が1つ増えましたが、DeNA相手に登板したこの試合が新人王争いに大きな影響を与えたと言えそうです。
というのもこの日の登板で森下は9回1失点という好投を見せて完投勝ち。戸郷と並んでいた勝ち星は1つ上回ることになり、さらに防御率でも菅野智之(巨人)を抜いてリーグ2位に浮上。さらにこの日の勝利で、セ・リーグ全球団から勝ち星を挙げることに成功。広島の投手としては23年前の黒田博樹が達成して以来の大記録となりました。
勝ち星だけでなく、その他の各成績を見るとすべて森下が上回っているため、これだけを見ると森下が優勢で戸郷は次回の登板がかなり重要なカギを握ることになりそうです。
新人王争いにはチーム順位も影響!?
データ類を見ると森下がダントツ有利という成績ですが、一方で戸郷を新人王の有力候補として推す声もあります。その理由となっているのが新人王は記者投票というルールだからです。
新人王は全国の新聞、通信、放送各社に所属して、なおかつプロ野球を5年以上担当している記者が、選考資格を持つ選手のうち1名の名前を記入し投票して既定の得票数(26%以上)を獲得した上で、最も得票数の多かった選手が選ばれます。
ほとんどの記者が成績を吟味して投票するのですが、記者の中にはチーム順位を考慮に入れる人もいます。そのため新人王を受賞するには所属チームが上位にいることが求められます。
▼過去10年の新人王とチーム順位の相関
年 | 選手名(球団) | チーム順位 | 選手名(球団) | チーム順位 |
---|---|---|---|---|
2010年 | 長野久義(巨人) | 3位 | 榊原諒(日本ハム) | 4位 |
2011年 | 澤村拓一(巨人) | 3位 | 牧田和久(西武) | 3位 |
2012年 | 野村祐輔(広島) | 4位 | 益田直也(ロッテ) | 5位 |
2013年 | 小川泰弘(ヤクルト) | 6位 | 則本昂大(楽天) | 1位 |
2014年 | 大瀬良大地(広島) | 3位 | 石川歩(ロッテ) | 4位 |
2015年 | 山崎康晃(DeNA) | 6位 | 有原航平(日本ハム) | 2位 |
2016年 | 高山俊(阪神) | 4位 | 高梨裕稔(日本ハム) | 1位 |
2017年 | 京田陽太(中日) | 5位 | 源田壮亮(西武) | 2位 |
2018年 | 東克樹(DeNA) | 4位 | 田中和基(楽天) | 6位 |
2019年 | 村上宗隆(ヤクルト) | 6位 | 高橋礼(ソフトバンク) | 2位 |
過去10年の新人王の在籍チームの成績を見てみましたが、意外にもセ・リーグからは優勝チームからの輩出はゼロ。その一方でBクラスのチームからは5年連続で新人王が生まれています。
これを見ると、次回の戸郷の登板成績がよほど優れていない限り、森下の新人王受賞が有力と言えます。ちなみに森下の先輩にあたる野村祐輔、大瀬良大地は新人王受賞後に最多勝を獲得するなど、エース投手として君臨しています。それだけに森下も新人王を受賞すれば前途はかなり明るいと言えるでしょう。