高齢結婚が増加する昨今。医療が進んだ現代にあっても、出産が女性の体に多大な負担をかけていることはまぎれもない事実。……にもかかわらず、40代夫のありえない行動で散々な目に遭ったという女性の出産エピソードをお届けします。
コロナ禍での出産、自分は孤独だと知った
「私はこの春に出産したばかり。2年にわたる不妊治療を経て、ようやく授かった宝物のような我が子です。コロナ禍の入院中は、基本的にお見舞い禁止。立ち合い出産も夫のみ可という状況でした。高齢出産のため少し早めに入院することになったのですが、個室オンリーの病院だったため、他の妊婦さんとの会話はほぼゼロ。寂しいし、不安は募るし、お腹は重くて身体中が痛いしで、何度も何度も布団をかぶって泣いていました。
出産当日。あと1時間ほどで分娩室へ……というところで、有給休暇をとって自宅待機をしているはずの夫に電話をしたのですが、家電も携帯にも出る気配がないんです。LINEをし、メールも入れたのですが既読にならず、返信もゼロ。夫が事故にでもあってるんじゃないか、家で急死してるんじゃないかと半ばパニックになりながら、分娩室に入りました。その後、無事に子どもが生まれ、カンガルーケアもひとりで行い、泣きそうな気持ちのまま病室に戻りましたがそれでも夫からの連絡はなし。やっとLINEに既読がついたのは、それから3時間ほど経ってからでした」
そう語るのは、埼玉県在住の村上乃里さん(仮名・41歳)。ここまで聞いただけでも思わずもらい泣きしてしまいそうな状況ですが、乃里さんにとっての心の修羅場は、ここから始まったといいます。
「夫からのLINEの返事は『あれ? もう生まれちゃった?』でした。夫が立ち会いたいと言ったから頼んだのに! 立ち会えないのであれば、義母に来てもらったのに! 怒りで頭がいっぱいになりました。その後、電話口で夫は『ごめんごめん、友達から誘われて飲み行っちゃってサァ。なんか飲み過ぎちゃったみたいで、さっきまで爆睡してたよ~』って……もう何も返す言葉が見つからなくて、そのまま電源を切り、6日後に予定通り退院するまで、一度も電源を入れずに過ごしちゃいました」
退院の日。またしても事件は起こった……
話を聞いた義父母からめちゃくちゃ怒られたらしいご主人は、退院予定の日に土下座状態で乃里さんの前に現れ、何度も何度も謝罪してきたといいます。家庭の都合で里帰りの予定はなく、近距離別居の義母の手を借りて育児をする予定だったため、乃里さんはご主人に対して半ば呆れながらも自宅に帰ることとなりました。
「病院から自宅までは車で30分くらいの距離があり、その日は義父の車で帰ったんです。夫が助手席に座り、後部座席に設置した新生児用のチャイルドシートの横に、私と義母がギュッと乗り込むような感じでした。走り出してすぐくらいに、夫の携帯が鳴ったんです。なんとそれはまたしても友達からの飲みのお誘いで……」
まったく何の反省もしていないのか、ご主人は「え? 今夜? 行く行く! 今日はもうヒマだし!」っと即答。それを聞いた乃里さんと義父母から「おまえはアホか!」というツッコミが一斉に入ったといいます。それでもご主人は理解できないようで「え? なんで? もう退院したんだから、飲みに行ってもいいんじゃないの?」と、まったく空気を読んでいない返答をしたのだとか。
「義母が義父に今すぐ車を停めるように言い、義父母がふたりがかりで夫を助手席から引きずり下ろしました。そして『アンタみたいなバカはいらないから、今すぐどこかに消えなさい。飲み会でもなんでも好きにすればいい!』と一喝。義父もそうとう頭に来ていたようで、すぐさま車を発進させて義父母の家に連れて行ってくれました。その後の義父母はとても動きが早く、我が家に用意してあったベビー用品や私の着替えを運び、義実家の一室に私と子どもの部屋を作ってくれたんです。まさか退院したその日に飲みに行こうとするなんて……夫のバカさ加減にウンザリです。
出産から2ヶ月近く経ちますが、私たちはずっと義実家で過ごしていて、夫とはほとんど顔を合わせていません。毎晩のように夫が『家族に会わせてくれ!』といって立ち寄るようですが、義母が言うには『ダメダメ、まだ、自分の何が悪かったかまったく分かってないわ』とのこと。しっかり反省し、何が悪かったのか自覚するまでは私も会いたいと思わないので、しばらくは義父母に甘えてお世話になる予定です」
人生の一大イベントを、ご主人によって台無しにされてしまった乃里さん。その怒りが収まるまでは、まだまだ時間はかかりそうです。先に述べましたが、女性にとって出産は命の危険すら伴う大仕事。妊娠中に、こうしたことをパートナーに学ばせ、理解させる機会を設けておくことが大切かもしれません。