史上初の珍事が飛び出した2020年開幕戦
6月19日、待ちに待った2020年のプロ野球ペナントレースが開幕。コロナウイルスの影響で無観客開催とはなりましたが、3力月遅れの球春到来にプロ野球ファンは歓喜しました。
異例続きだった2020年のペナントレース。開幕戦から史上初の珍事が置きました。まずは東京ドームで行われた巨人対阪神戦。菅野智之と西勇輝の投げ合いで始まった一戦でしたが、先制点は阪神。それも投手である西勇輝が自ら本塁打を放って先制点をもぎ取りました。
西のまさかの一発に驚いていた数分後、今度はDeNA対広島戦で広島先発の大瀬良大地が自身初の本塁打をマーク。開幕戦で2人の投手から本塁打が飛び出すというのは80年以上の歴史を誇るプロ野球でも史上初の出来事でした。
最近では大谷翔平が二刀流選手として活躍しましたが、基本的にプロ野球の世界で投手は打撃に専念しないのが一般的。それだけに打撃のいい投手はかなり注目を集めることになりますが……では、歴代の投手たちで打撃が良かった選手にはどんな人がいるのでしょうか?
史上最多本塁打を放ったのは不世出の大投手!
調べてみたのは投手の通算本塁打数。ダントツ1位は大谷翔平の48本塁打(5年)でしたが、野手としての出場歴があるため除外。投手として出場した選手のみの記録を調べてみました。
▼投手の通算本塁打ランキング
※大谷翔平は野手としての出場があるため除外
順位 | 選手名 | 球団 | 実働期間 | 通算本塁打数 |
---|---|---|---|---|
1位 | 金田正一 | 国鉄など | 20年 | 38本塁打 |
2位 | 別所毅彦 | 巨人など | 17年 | 35本塁打 |
3位 | 米田哲也 | 阪急 | 22年 | 33本塁打 |
4位 | 平松政次 | 大洋 | 18年 | 25本塁打 |
5位 | 堀内恒夫 | 巨人 | 18年 | 21本塁打 |
6位 | スタルヒン | 巨人など | 19年 | 19本塁打 |
7位 | 稲尾和久 | 西鉄 | 14年 | 17本塁打 |
8位 | 星野仙一 | 中日 | 14年 | 15本塁打 |
成田文男 | ロッテ | 17年 | 15本塁打 | |
10位 | 江川卓 | 巨人 | 9年 | 13本塁打 |
金田留広 | ロッテなど | 13年 | 13本塁打 |
トップ10に入った選手たちを見ると通算200勝超えの投手が7名と圧倒的な成績を残した選手たちばかり。中でも別格だったのが昨年逝去した金田正一。投手でありながら毎年コンスタントに20安打以上を放っていて、本塁打を打たなかった年は実働20年中わずか4年だけ。中でも1962年は打率こそ.170でしたが、本塁打は6本もかっ飛ばすというまさに恐怖の9番打者という呼称がピタリとハマる成績を収めました。
そんな金田に3本足りませんでしたが、通算安打記録でトップに立っているのが別所毅彦。17年間で放った通算安打数はなんと500本ちょうど。2リーグ制に移行した最初の年である1950年には打率.344 4本塁打という驚異的な成績をマーク。OPSに至っては.915とクリーンナップを任されるクラスの実績を残しました。
ちなみに第10位にランクインしている金田留広はなんと金田正一の弟。投手顔負けの打撃は兄から受け継いだものなのかもしれませんね。
現役選手ではヤクルト勢が上位を独占!
投手の本塁打記録を見ると、多くの選手がドラフト指名制度導入以前に入団した選手たち。最も若い江川卓でさえも1987年に現役を退いているため、イマイチピンとくることがなかったと言えます。そこで昨季の投手打撃成績の上位を見てみましょう。
▼2019年投手打撃ランキング
順位 | 選手名 | 球団 | 打撃成績 |
---|---|---|---|
1位 | 原樹理 | ヤクルト | 打率.273 0本塁打1打点 |
2位 | 石川雅規 | ヤクルト | 打率.235 0本塁打4打点 |
井納翔一 | DeNA | 打率.235 0本塁打1打点 | |
4位 | ヤングマン | 巨人 | 打率.231 0本塁打0打点 |
小笠原慎之介 | 中日 | 打率.231 0本塁打2打点 | |
6位 | 西勇輝 | 阪神 | 打率.205 0本塁打4打点 |
7位 | 高橋奎二 | ヤクルト | 打率.200 0本塁打4打点 |
8位 | 大貫晋一 | DeNA | 打率.188 0本塁打0打点 |
9位 | 上茶谷大河 | DeNA | 打率.182 0本塁打4打点 |
10位 | 柳裕也 | 中日 | 打率.178 0本塁打3打点 |
10打席以上たった選手にしたため、全員が指名打者制のないセ・リーグの選手たちになりましたが、打率トップを記録したのはなんとヤクルトの原樹理。昨季は本職(?)の投手では3勝7敗と振るいませんでしたが、打撃で意外な活躍を見せ、2位の石川雅規、井納翔一に3分以上という大差をつけています。
ちなみにランキング外ではありますが、最多打点はこれまたヤクルトの小川泰弘。打率こそ.089と振るいませんでしたが、勝負強い打撃でなんと単独トップとなる5打点をマークしました。そして開幕戦で本塁打を放った西勇輝は昨季がセ・リーグでの初プレーとなりましたが、打率は.205と6位にランクイン。指名打者制のあるパ・リーグでプレーしていたため打席に立つ機会がなかっただけで、もともと打撃が得意だったのかもしれません。
今季の投手たちのバットに期待!?
いかがでしたか? 懐かしい名前が出てくるとともに、現役選手たちの意外な打撃センスがわかったかと思います。今季は交流戦が行われないため、セ・リーグの投手しか打席機会がないですが……彼らがどんな成績を残すか注目しましょう。