「オバサンのくせに、みっともない」発言に見る、“NTR男”5つの大罪

行きつけのバーで聞かされた寝取られ夫の話から、寝取られる男性が知らずに犯す「NTR男5つの大罪」についてお伝えします。

半年ぶりに行きつけのバーに顔を出しました。こぢんまりとした店内に客は僕ともうひとり、メガネを掛けたポロシャツ姿の男性(以下、ポロ氏)だけ。ポロ氏は時折ハイボールをグビグビとあおり、マスター相手に自嘲気味に何か喋っています。僕はスコッチを頼み、聴くともなしに彼の話を聴いていました。

「おばさんのくせに、みっともないぞ!」という夫

「嫁がさぁ……ヤッちゃったんだよね、若い男と。オレ、寝取られたんだよ。NTRよ」
 

いきなり、おだやかならぬ告白です。
 

「8つも上のおばさんとヤるかね、普通? 20代の男が。ねぇ?」
 

ポロ氏は、カウンター端にいた僕に、やおらボールを投げてきました。
 

曖昧に微笑みながらあらましを訊いてみると……。
 

ポロ氏は現在40歳。3つ歳下の妻とは結婚8年目で子供はなく、3年前からレス気味。これについて妻は何度か泣きながら「さみしい」と訴えてきたが、正直めんどくさいし、そういう気も失せてきたのでなぁなぁにしてきた。あまりにしつこいときは、「お前、おばさんのくせにいい歳してみっともないぞ!」と叱ってやった。
 

すると、ある時から潮が引くように妻は冷淡になり、気がつけば仕事関係で知り合った男といい仲になっていた。妻は謝るどころか開き直り、離婚したいという。相手の男も「ご主人とお会いしてはっきりさせたい」と言っている……とか。
 

「もう意味わかんないよ! オレは仕事もちゃんとしてるし、DVとかもしてないし、なんでオレがこんな目に遭うんだよぉ」
 

ついに泣き出したポロ氏を尻目に、僕は内心ため息をつきました。
 

やれやれ。この人は“NTR男5つの大罪”をフルコンプしたことに、気付いていないのだな……。
 

話を聞くかぎり、ポロ氏の奥様はたんなる火遊びでなく、本気の恋をしたようです。彼女に夫を見限らせたのはポロ氏その人なのですが、本人に自覚がないのは残念なところ。
 

NTR男5つの大罪

以下にポロ氏のような男性が知らずに犯す“NTR男5つの大罪”を記しますので、「実はウチもうまくいっていない」という夫さんは、無意識に妻を傷つけていないか振り返ってみてください。
 

1. 妻のSOSを甘く見ている
奥様が「さみしい」「かまってほしい」と訴えてくれているうちが花です。奥様にしても、自分から誘うことに恥ずかしさやくやしさもあったのでは。平気そうに見せて、やっとの思いで切り出したのかもしれません。夫がこれを無視することは、自分の女を放棄する第一段階を踏んだのと同じです。
 

2. 妻の性欲をなめている
令和になったというのに、“女性には性欲がない”と思っている男たちがいます。言うまでもなく、性欲は食欲、睡眠欲と並ぶ人間の三大欲求のひとつであり、奥様は人間です。自分が満腹でも、妻は空腹かもしれません。性欲は食欲や睡眠欲のように自己完結できないからこそ、満たされない人はパートナーを慮って悩むのです。これをからかうような夫は、幼稚の極みというもの。
 

3. 他の男からの目線を忘れている
今は、世代間でも昭和のようなボーダーはなくなりました。さまざまな世代の男女が分け隔てなく出会う機会があるし、おたがい、実年齢に拘らない可愛さや頼もしさに惹かれ合うこともあります。自分にとっての妻は“おばさん”でも、他者からは“素敵な大人女性”に見えるかもしれない。この目線を忘れたら、他の男に攻め入られても文句は言えません。
 

4. 妻の“女”をバカにしている
妻がおしゃれをしたり、女性らしい下着を用意してもバカにする、ダイエットやメイクをがんばっても取り合わない、妻が大切にしている靴を平気で踏む、何かというと“おばさん”と言って「お前は女として可愛がる価値がない」と刷り込もうとする……など、奥様の“女”を踏みにじる行為を疑問なくしてきては、嫌われて当然です。
 

5. 妻は一生、「自分のモノ」だと思っている
おめでたいとしか言いようがないのですが、結婚したら、“妻は一生自分のモノ”だと思っている男性がいます。よく「釣った魚に餌はやらない」と言いますが、子供のママを自分のママと混同し、女性としての妻と向き合うことを避け、それでいて老後の面倒は見てほしいなどという考えは、ずうずうしすぎて呆れます。
 

ポロ氏の奥様は、夫の立場にあぐらをかき、人としても男性としても尊敬できなくなった彼に見切りをつけたのでしょう。そして、新しく共に歩きたい人と出会った。
 

「でも、奥様を女性として見られなくなっていたのでしょう? あなたも新しい出会いを探しては?」
 

と言ってみますと、ポロ氏は、さらにはらはらと涙を流すのでした。
 

「だってずっとオレのもんだと思ってたもん……! 昨日ね、電車で仲よさそうに手をつないでるおじいちゃん、おばあちゃんを見たんだよ。70か、80歳くらいかな? ……オレたちだって、ああなるはずだったのに……」
 

絶句。
 

ポロ氏にしても、奥様にしても、そのご夫婦と同じ年頃になるのは30~40年先だろうに……。この人は妻の悩みも受け止めず、何十年も先の幸せを手にできると思っていたのだろうか? 幼いし、甘い。甘すぎる!
 

芳醇なスコッチにキャラメルマキアートでもぶっ込まれたような気になって、僕は思わず眉を顰めました。今夜は引き上げよう……。
 

チェックを済ませて店を出ると、暑い7月の風に頬をなでられました。熱帯夜。ポロ氏夫人は今ごろ、どこかで熱い夜を過ごしているのかもしれません。
 

あなたにも大罪を犯した覚えがあり、妻を失いたくないのなら――早急に、悔い改めることをお勧めしておきますね。

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