新型コロナウイルスの流行とともに需要が高まる除菌製品。商品によっては品薄状態のものも。除菌製品にはいろんな種類がありますが、その違いをご存知ですか? 今回は、除菌製品に配合される主要な成分の特徴を解説します。
Q. 除菌製品には、どんな成分が配合されているの?
A. 除菌製品に配合されている成分はいろいろありますが、代表的なものは以下の3つです。
- エタノール(アルコール)
- 二酸化塩素
- 次亜塩素酸水
除菌成分に関していろんな情報が錯綜し「何を信じていいのかわからない!!」、と困っている方もいらっしゃるかと思いますが、まずはそれぞれの除菌製品に配合されている成分を確認することが重要です。
1. エタノール
エタノールは、アルコールともよばれる除菌成分で、幅広い微生物・ウイルスに対して効果がある最もポピュラーなもの。
エタノール配合の除菌は濃度が重要となります。ただエタノールの濃度表記は、容量%(vol%、またはv/v%)と重量%(wt%、または%)の2種類あるため、注意が必要です。
一般的に消毒用として販売されているエタノールの濃度は76.9~81.4vol%ですが、新型コロナウイルス対策としては60vol%台のエタノール濃度であっても有効性が確認されているとのことです。
ただし、エタノール濃度が高ければ高いほど良いというわけではありません。あまりに濃度が高すぎると、逆に消毒効果は薄れてしまいます。そのため、濃度の高い無水エタノールなどを消毒用として使う場合は、70~83vol%になるように水で薄めて使わなければなりません。もともと濃度が調整されているものを選ぶと手軽で確実な効果が得られるのでよいですね。
また火気に引火しやすいため、消防法上、アルコール濃度が60%(約67vol%)以上のものは危険物に分類されます。安全に使用するためにも、製品に記載された注意表示をよく読んで使用・保管することが重要です。
【エタノールを含む代表的な除菌製品】
「ドーバー パストリーゼ77」(エタノール濃度:77vol%)
(おすすめの使い方)
私は手指の消毒はもちろん、ドアノブやスイッチなどよく触れる場所の消毒に主に使用しています。また、冷蔵庫の拭き掃除をする前に吹きかけておくと、除菌効果だけでなく、汚れ落ちもよくなるので、掃除の際に使うのもおすすめです。
「ジェームズマーティン フレッシュサニタイザー」(エタノール濃度:65vol%)
(おすすめの使い方)
水で薄まっても効果があるということなので、キッチンや洗面所、トイレなど水まわりの消毒に主に使用しています。また防カビ効果もあるので、お風呂掃除の仕上げにカビの気になる床や扉のパッキンにひと振りしておくようにしておきます(これをはじめてからお風呂のカビ取りをする回数が減った気がします)。
2. 二酸化塩素
二酸化塩素とは、酸化作用のある成分で、プールの水の殺菌などに使用されます。二酸化塩素の中でも要時生成型二酸化塩素水溶液(MA-T)は、新型コロナウイルスに対して有効だという発表もありました(大阪大学微生物研究所の研究グループ)。ただし、二酸化塩素は手指の消毒用ではありません。
【二酸化塩素を含む代表的な除菌剤】
「A2Care(エーツーケア)」
(おすすめの使い方)
除菌はもちろん消臭効果が高いので、私は主に消臭目的で靴箱などに使用しています。サッカー少年である息子の頑張りと汗がしみ込んだ靴にシュッとひとふきしておくと、ニオイが気になりません。また、愛犬のトイレ掃除の際にA2ケアを使うと、ニオイがかなり抑えられるので重宝しています。
3. 次亜塩素酸水
次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解することで得られる酸性の水溶液です。自治体などから無料配布された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
次亜塩素酸水はハイターなどの漂白剤に含まれている「次亜塩素酸ナトリウム」と混同されることがありますが、まったくの別物です。次亜塩素酸水は紫外線に弱く、光にあたると有効成分が分解されてしまうので保存は注意が必要です。透明なペットボトルに入れている場合は、アルミホイルを巻くなど遮光して保存してください。
また、現時点では、次亜塩素酸水の新型コロナウイルス消毒効果は確認できていません。注意したいのは、「効果がない」というわけではなく、現在(2020年6月9日現在)有効性を検証中ということです。一定の効果を確認できるデータもあるようですが、次亜塩素酸水に含まれる塩素濃度やpHなどの条件によって効果が変化するため、なかなか結論が出せない状態だということです。
いかがでしたか。ひと口に「除菌スプレー」といっても、成分はさまざまです。ご自身の用途に応じて、より効果が得られるアイテムを選びたいですね。