小さいことはハンデじゃない!
「身長が高い選手の方が伸びしろがあり、反対に低い選手は選手としての伸びに不安がある」――これはプロ野球界でまことしやかに囁かれているウワサのひとつ。実際にドラフト会議で選手を指名する際、高身長の選手たちが上位指名を受けることが多く、身長が低い選手はそれだけで値打ちが下がるという傾向があります。
最近では昨季パ・リーグMVPを獲得した森友哉は大阪桐蔭時代に甲子園春夏連覇を達成した上で高校通算41本塁打を放つなど、打者として超一流の成績を残していながら、身長が低いことがネックとなったのか、2013年のドラフト会議で1巡目指名したのは西武のみという結果でした。
この森をはじめ、現在のプロ野球界には身長が低いという不利な条件をものともせずに活躍を収めている選手がたくさんいます。そこで2020年も現役でプレーしている身長170センチ以下の選手たちを紹介しましょう。
その1:石川雅規(ヤクルト・身長167センチ)
ヤクルトが誇る小さな大エースこと、石川雅規。秋田県の甲子園常連校である秋田商時代からエースとして活躍して、青山学院大学時代にはシドニーオリンピックの代表選手にも選出されるほどの実績を誇りましたが、170センチに満たない身長が災いしてか、即戦力という声がありながら自由獲得枠でヤクルトに入団した割には注目度はさほど高いものではありませんでした。
しかし、いざシーズンが明けるとルーキーイヤーの2002年から先発ローテーションに入りいきなり12勝をマークして新人王を獲得。秋田県出身の選手としては史上初という快挙も成し遂げました。その後もコンスタントに2桁勝利をマークし続け、現役18年間で11度の2桁勝利は現役選手で最多の記録となっています。
その2:美馬学(ロッテ・身長169センチ)
昨季のFA戦線で人気を集めた美馬学も身長は169センチと小柄な部類。しかし、学生時代から先発、リリーフを問わない大車輪の活躍を見せたタフな投手で、楽天に入団してからは主に先発投手として台頭。中でも巨人と対戦した2013年の日本シリーズでは第3戦に先発登板して勝ち星を挙げて流れを引き寄せると、日本一が掛かった第7戦でも勝利投手となって見事にMVPに輝き、その実力を満天下に示しました。
これを機に先発投手として確たる実績を得た美馬はその後も楽天のローテーションを支え、昨季はパ・リーグ最多となる2完投を記録して8勝をマーク。今季から新天地となるロッテでも活躍が期待されています。
その3:福田周平(オリックス・身長167センチ)
ここまで紹介したのは投手ですが、当然野手にも身長が170センチ以下の名選手は存在します。その中でも代表格となっているのがオリックスの二遊間を支える福田周平です。
甲子園屈指の名門校、広陵高校から明治大学へ進学し、そして社会人のNTT東日本でもショートのポジションを守り、華麗な守備と俊足を武器に台頭。背が低い選手は得てして俊足選手が多いものですが、福田はまさに俊足をウリにするタイプの選手でスカウトからも注目されて2017年のドラフト会議でオリックスへ3巡目指名を受けて入団しました。
開幕一軍こそ逃したものの、間もなく一軍でデビューすると、すぐさまセカンドのレギュラーを獲得。1年目から100試合以上に出場したことを評価されて2018年からはキャプテンに就任。オリックスの顔となるべく奮闘中です。
その4:小深田大翔(楽天・身長168センチ)
佐々木朗希や奥川恭伸らが人気を集めた昨年のドラフト会議。その中で楽天の1巡目指名を受けたのは小深田大翔。身長168センチはドラフト指名を受けた選手の中で最も低い部類の小さな選手としても話題になりました。
高校時代までは無名の選手でしたが、近畿大学では4年間で通算107安打を記録するというシュアなバッティングを披露。そして社会人の大阪ガスでも都市対抗野球の主要タイトルである若獅子賞を獲得しました。
即戦力と称された俊足と広い守備範囲を売り物に1年目となる今季から楽天内野陣でレギュラー奪取に向けて奮起が期待されます。