俺を超えたお前が悪い?不倫を正当化する夫に、デキる妻が下した決断

戦国時代に入って「力が強いものが正義!」という考え方が一般的になったことで、男性に比べて非力であった女性は「男尊女卑」の枠に押し込められるようになっていきました。令和に入っても、こうした「男尊女卑」の”記憶”は、男性を支配しているようです。

有史以前から平安時代頃まで、日本にはいわゆる「男尊女卑」という考え方はなく、男女間における区別はあっても、性“差別”はほとんどなかったといわれています(※諸説あり)。武家が実権を握るようになった戦国時代に入って「力が強いものが正義!」という考え方が一般的になったことで、男性に比べて非力であった女性は「家を守るのが当然」「子どもを生めない女は人間失格」という「男尊女卑」の枠に押し込められるようになっていきました。
 

令和という新しい時代に入っても、こうした「男尊女卑」の”記憶”は、まるでDNAに刷り込まれてでもいるかのように、一部の男性を支配しているようです。
 

男尊女卑

デキる妻をもらった男は不幸になる?

有名俳優の娘として生まれ、15歳でファッションモデルとしてデビュー。ルイ・ヴィトンのコレクションに出演するなど華々しい経歴を持つ、年上の妻。そんな妻が双子を出産して育児に仕事にと励んでいる中、待望の3人目を妊娠。考えるだけでも大変さが分かるこの時期に、夫は未成年の女性に手を出し、以後3年間、不倫を続けていた。――これは、今や誰もが知っている杏さん・東出さんご夫妻の家庭問題です。
 

女性からはバッシングの嵐ですが、男性の中には「東出くんが不倫をした理由もわかる!」という意見が散見されました。その理由として多く見られたのが、
 

「デキる妻をもらうと、男は立つ瀬がない。だから、若い女とつきあって、男としてのプライドを満たしたかったんだ」
 

というもの。
 

「はぁ? 何ソレ?」というのが多くの女性の頭に浮かぶ疑問だと思いますが、残念ながら一部の男性の中には、現代でも「女は男より劣っているべき!」「男を立てるべき!」という考え方が根強く残っているのです。
 

前置きが長くなりましたが、今回は、そんな「男尊女卑」に支配された夫と離婚した女性のお話を紹介しましょう。
 

ある夜の何気ない会話に端を発した夫の不倫

23歳のときに同業のご主人と知り合い、25歳で結婚。子どもはなく、夫婦ふたりの生活を楽しんでいたという大阪府在住の林ミカさん(仮名・34歳)。
 

「『いわゆる友達夫婦って、アンタたちみたいな夫婦のことを言うんだよね』と、友人たちから冷やかされたこともありました。恋人、家族というより『親友』という言葉が当てはまる夫婦だったと思います。ふたりでバカなことを言って笑い合って、夜は毎日のように馴染みの店に飲みに行って。まぁ、こういう人生が続くなら、この結婚も悪くなかったなって。そう思っていたんです」
 

しかし、ふとした会話がきっかけで、夫が変わっていったといいます。
 

「私が抱えていたプロジェクトが成功して昇格。大きく給料が増額したんです。それがうれしくて、夫に『一緒にお祝いして!』って話をしたんですよ。そのとき夫から「年収、どれくらいになったの?」って聞かれたので素直に答えたのですが、どうやら夫の年収を上回ったみたいで。それからしばらくして、なんだか夫が冷たくなったというか、飲みに行こうと誘っても『今日はちょっと疲れてるから』と、断られるようになってしまいました」
 

2ヶ月ほど経った頃、ミカさんのご主人に東京出張の予定がはいったといいます。
 

これまで、そうした出張に出かける際には「俺、この日は博多に泊まって、翌日大宰府に行って仕事するから。博多駅のあたりで美味しい料理屋やお土産物屋があったら探しておいて!」と、旅程や行程を詳しく伝え、ミカさんのサポートを受けるのが常だったといいます。しかしその出張のときは、どこに行くかをまったく伝えずに出ていったのだそう。
 

「これは怪しいって、すぐに思いました。で、帰ってきた夫に素直に聞いたんです。出張じゃなかったんでしょ? で、誰とどこに行ったの? 怒らないから正直に言ってって。そしたら、夫がバカ正直に告白してきたんです。『元カノと、ディズニーランドに行った』って」
 

それでも、ご主人に対して愛情があったミカさん。「正直に話してくれたから、今回は許す。でも、もう二度とこんなことはしないでほしい」と伝えたといいます。しかし、ご主人からは意外なひとことが。
 

「おまえはひとりでも生きていけるタイプだけど、彼女は俺がいなくちゃダメなんだ! だから、離婚してほしい。俺は彼女と一緒に生きていきたい」
 

男のプライドを傷つけられて…

男性に多く見られる「庇護欲」。これは、助けを必要としているような、弱いもの、困っているものに対して「守ってあげたい」と思う欲求です。
 

ミカさんがご主人を問い詰めてみたところ、どうやらその元カノも、そうした庇護欲をかきたてるタイプの女性であることが分かったといいます。
 

「もうね。笑っちゃいましたよ。私がひとりで生きているタイプなのは、確かにその通りだと思います。でも、ひとりじゃ生きていけない人間なんて、成人している健常者であれば、誰ひとりとしていないでしょう? 元カノさんは、超有名一流企業の男性と結婚していて、自分の実家のすぐ近くに戸建てを建ててもらっている専業主婦。子どももいないし、ヒマを持て余して『ディズニーランドに行きたいけど、ひとりじゃ怖くて行けない』と元彼に電話して、お金もお土産代もすべて出させて不倫旅行に行くような女ですよ? どっちのほうがより「ひとり」で生きていけるのか、よくよく考えてみなさいよ!って思いました。しかも結局『私、夫と別れる気なんかないけど?』的な感じであしらわれていました(笑)」
 

ご主人はその後、泣きそうな顔でミカさんに謝罪をしてきたといいます。
 

「ちょうどいい機会だったので、じっくり話し合ったんです。夫が言うには、不倫のきっかけは、私の収入が夫のそれを超えたことだと。それが許せなかったからだと。『プライドが傷ついた。俺はおまえを守るつもりだったのに、俺が守られているような気がして嫌だった』って。さも『だからおまえが悪いんだ!』っていうような言い方をしてきて、思わず苦笑しちゃいました。でも、いくらプライドが傷つけられたからといって、たまたま電話をかけてきた元カノと不倫するって……まったく意味がわからなくて」
 

このときのご主人の言葉がのどの奥に刺さった小骨のように気になり、その後、離婚してしまったミカさん。
 

「すべての男性がそう思っているわけではないでしょうし、東出さん自身が、杏さんにプライドを傷つけられて不倫をしたかどうかは分かりませんが、“東出さんを擁護している”男性の話を聞く限り、元夫のような、意味不明な男尊女卑を尺度にしている男性がまだまだ多いのでは?と思いました」
 

男性に庇護してもらいたいと思っている女性もいるので、こうした男性の庇護欲は否定しませんが、それを不倫の言い訳に使うのは、まったくもってナンセンスなお話(不倫はいわゆる刑法上の犯罪ではありませんが、民法上の不法行為に当たる立派な「違法行為」です)。
 

もしも男性に、本当のプライドがあるのなら……妻を責めるような卑怯な真似をするのではなく、正しく使ってほしいものです。

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