Mattに首ったけな人々
Mattさんに首ったけなヒトたちが、有名・無名を問わず日に日に増加しつつある様子です。なにを隠そう、このぼくも「只今Mattに首ったけなヒトたち」の一人であります。
どれくらい「首ったけ」なのかといえば、基本、インスタではタレントさんなど著名人のフォローはしないぼくですが、Mattさんだけはきちんと(?)フォローしています。
首ったけゆえ、Mattさんについて原稿に書くことも多いため、自身のノートパソコンとスマホでは「ま」と打っただけで「Matt」と変換できるよう辞書登録もしました。もちろん、ぼくがもっとも懇意にしている27歳の某女子も首ったけです。
もはや「作品」の域にも達する、その何十万・何百万円もする精巧なダッチワイフのごとき肌の質感は、みずからをキャンバスとした「実験的なトリックアート」とすら表現しても差し支えありません。誰でも簡単にMatt風の加工写真が撮影できるアプリ『BeautyPlus(ビューティプラス)』が若い世代のあいだで大流行しているとも聞きました。
Mattとのツーショットはステイタスに
本名は桑田将司。「まさし」だから「Matt」。1994年生まれの今年25歳で、お父さんは元読売ジャイアンツの桑田真澄投手です。「高校時代は往復2万円をかけてタクシーで通学していた」「高校時代に150万円するサックスを衝動買いした」「父の桑田真澄から自由に使っていいクレジットカードを渡されていて、月20万円以上かかる美容関係の費用を、そのカードで払っている」……ほか、数多くのセレブエピソードも漏れ伝わっており、これらの浮世離れした逸話がまた“神秘性”ってやつを、よりいっそう増幅させる方向へと作用しているのかもしれません。
女優の矢田亜希子さんや桐谷美玲さん、タレントのダレノガレ朋美さん、ダウンタウンの浜田雅功さん、元SMAPの香取慎吾さん、さらには実父の桑田真澄さん……と、極限まで無機質にデフォルメされたMattさんを隣に添えた著名人の写真は、瞬く間にネット上で拡散され、今では「Mattさんとのツーショット」は、ある種のステイタス──まるで「触れるだけで御利益がある」、ちょっとした巣鴨のとげ抜き地蔵や通天閣のビリケンさん状態となりつつあります。
Mattさんが突如としてテレビの世界に姿を現したのは2017年ごろ。自身を“美容中毒”と形容し、まつ毛やエクステや眉毛ケア、皮膚科で美容点滴やイオン導入するなど日々、美を追究する様子を公開し、その「常人ならぬビジュアル(=あまりに激しすぎるお父さんとのギャップ)」で話題を集めました。
ところが、“親の七光り”を逆手にとって“美容男子ルート”を切り開いたのもつかの間、昨年からはテレビ出演がめっきり減少。詳しい事情はわかりませんが、今年の4月に本人がインスタグラムで「約半年間、テレビのお仕事はすべて断ってきた」ことを明かしており、ここ数カ月は、またじわじわと、既存メディアへの露出も増え始めてきています。
Mattにも「死角」がある?
そんなMattさんを「国民の女友達」と称し、「しかし、まだ“彼”には死角がある」と指摘している老舗週刊誌系のネットサイトがありました。どうやらMattさんは年輩の同性、つまり「芸能界の男性大御所」と良好な関係をつくるのが苦手らしく、「テレビの世界で売れていこうとするなら、力ある人にもほどほど可愛がられる能力も必要」といった理屈です。
しかし、ぼくはこう思います。Mattさんの肩書きは、あくまで「音楽家」「モデル」「美容研究家」……etc.であり、その「etc.」のなかに、おそらく「芸能人」は含まれていないのです。堺○章や坂○忍に嫌われたって、だからなに? いわばMattさんのテレビ出演は、最近で例えるなら、9月のW杯で全国を沸かせたラグビー日本代表選手みたいなもの。彼らがバラエティや情報番組で多少空気の読めない発言をしたところで、誰も「コイツはテレビ慣れしてねえな……」なんて小言を吐けるはずがありません。むしろ、こうしたMattさんの「大御所に物怖じしない態度」もまた、業界内に反して視聴者の好感度を得ている一因なのではないでしょうか?
じつを言うと、ぼくは一度、このMattさんをかなり近い距離で、それも2時間以上凝視できる幸運を授かったことがあります。関西系のバラエティ番組『クギズケ!』(読売テレビ)で、ぼくはコメンテーター、Mattさんはゲストとして共演を果たしているのです。
メインMCを務める上沼恵美子さんの容赦ないツッコミにも、どこ吹く風で泰然自若のコメントを連発(※ただし、同じ大御所でも女性には案外ウケが悪くないっぽいです。上沼さんは決して気分を害している風には見えませんでしたし、2019年の紅白でコラボを果たした天童よしみさんとも和気藹々とした雰囲気でした)。「ドーラン塗りたくり」では説明できない、ハズキルーペでも毛穴一個発見困難(そう)なつるんつるんの白肌や、プロアスリートの遺伝子を受け継いだ見事なボディバランス(案外、腰まわりとかはがっしりしている)、あと出発点からして我々一般人とは次元が噛み合っていない独自の美意識・価値観は、まさに“別の生き物”でありました。