東京五輪マラソン日本代表選考レースである「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」に出場する全選手の公式記者会見が9月13日、東京都内で行われ、男子30名、女子10名の選手が意気込みを語りました。
上位2名は東京五輪マラソン代表へ内定する、重要なレースであり、レースを15日に控えた選手たちの声を紹介していきます。
勝負のポイントは?
●大迫傑選手(Nike)
「正直わからないが、予想も込めてラスト5km」
井上大仁選手、木滑良選手(ともにMHPS)上門大祐選手(大塚製薬)、園田隼選手(黒崎播磨)、岡本直己選手(中国電力)も同じようにラスト5kmがポイントとの回答でした。ラスト5kmは上り坂が続くため、ここまでに脚にどれだけ力が残っているのかがポイントになるのではないでしょうか。
●設楽悠太選手(Honda)
「前半10km。自分のリズムで大切に走りたい」
順位を争うレースゆえ、牽制しスローペースになるのでは、という意見が多いですが、設楽選手の言葉からは、序盤からハイペースで飛び出すような可能性・雰囲気が感じ取れました。
●宮脇千博選手(トヨタ自動車)
「スタートからゴールまで。最初から最後まで気を抜かず、優勝、2位争いに絡みたい」
村澤明伸選手(日清食品グループ)、竹ノ内佳樹選手(NTT西日本)、山本憲二選手(マツダ)も同じような回答でした。国内の有力選手がこれだけ集まるレースは滅多に無いため、誰がどこで飛び出すかわからない、気が抜けない、とのコメントでした。
●佐藤悠基選手(日清食品グループ)
「ラスト“1メートル”。優勝争いに絡んで、一瞬でも前でゴールすれば勝ちなので、こだわってやっていきたい」
中村匠吾選手(富士通)は40km以降が勝負との回答でしたが、佐藤選手は更に最終盤の「ラスト1メートル」との回答でした。ジュニア時代から数々の記録を打ち立てた佐藤選手らしい「勝負に徹底する」という気持ちが伝わってきました。
マラソンにおける自身の強みとは?
●中本健太郎選手(安川電機)
「経験。このなかでは最年長ですし、世界陸上、五輪の経験は他の選手より多い。それを生かしたい」
夏場、一発選考レース、さらにペースメーカーなし。このような未知のレースで生きてくるのは中本選手の持つロンドン五輪6位、モスクワ世界陸上5位といった経験なのではないか、と考えさせられるコメントでした。
また、今井正人選手(トヨタ自動車九州)も、「(成功した経験、失敗した経験を経て)引き出しをたくさん持っている。余すことなく、すべての引き出しを開けてでも、最後、胸ひとつでも前に出て勝負をしたい」とコメント。経験がモノをいう、という点において、この2選手はやはり注目・注意しなければいけない選手だと思いました。
●神野大地選手(セルソース)
「努力。元々、才能がないところから、努力を重ねてここまできた。その成果を9月15日にすべてだして、必ず2位以内に入って、東京五輪の代表権を掴みたい」
出場選手のなかで最も強い気持ちが伝わるコメントでした。ラスト5kmの上り坂に可能性を感じる選手の1人です。9月13日が26歳の誕生日とのことです。
意気込みを漢字一文字で!
●松田瑞生選手(ダイハツ)
「笑。表情筋を鍛えるというのが合宿のテーマでした。(ダイハツ・山中コーチに)走ってる顔が怖いと言われたので、笑顔で走りたい」
優勝をイメージして、マニキュアの色、アクセサリーもゴールドにしており、気合十分でした。
●安藤友香選手(ワコール)
「己。最終的には自分が一番のライバル。自分に勝って笑顔でゴールしたい」
高校時代より実績を重ねた実力者です。現役選手で最速の2時間21分36秒の自己記録を持っており、真夏の大舞台のレースも経験(ロンドン世界陸上マラソン代表)があるという点においても注目です。
●小原怜選手(天満屋)
「道。ここまでくるのにいろいろなことを乗り越えてやってきたので、やってきたことに自信を持ってスタートしたい」
2016年のリオ五輪代表を僅差で逃した後に歩んできた「道」は険しいものだったでしょう。言葉ひとつひとつに重みを感じました。
●上原美幸選手(第一生命グループ)
「戦。挑戦するという意味。勝ち負けを争うMGCで、五輪の切符に挑戦したい」
チームの先輩である尾崎好美さん(ロンドン五輪マラソン代表)、田中智美選手(リオ五輪マラソン代表)の練習メニューと比較すると、7~8割の量しかできていない、とのことですが、「信頼する山下佐智子監督のメニューを消化できたのは自信になっています」と話していました。