東京などでは最低賃金(時給)が1000円を上回る
最低賃金の引上げがニュースになったのはご存じかと思われますが、そもそも最低賃金とは「企業が従業員に支払わなければならない最低の時給」を指しています。
2019年度の最低賃金は、全国平均で27円増の901円になる予定ですが、東京などの一部では最低賃金(時給)が1000円を上回るようです。
責任が重い割に収入は……正社員には逆風
最低賃金が上がったとはいえ、正社員の収入には向かい風という強風が吹きつけています。4月からの「働き方改革」により、残業時間が減らされ収入が激減している人が多いからです。
今夏のボーナスも昨夏と比較して減少していることを考えると、正社員は責任が重い割に見合った収入が得られないのでは?と疑問に思われることでしょう。
いっそアルバイトのほうがいい? 正社員のメリットは
時給1000円超を貰えるなら、いっそアルバイトで暮らしたほうが割に合うと考えられてもおかしくはありません。働き方(収入を得る方法や収入額)の考え方は人それぞれなので万人に共通の正解はないかもしれませんが、人の一生を俯瞰すると、正社員(社会保険に加入する派遣や契約含む)がいいといわざるをえません。
その違いは「現役世代の保障」「老後の準備」「有給の有無」などの概ね3つにあると考えられます。
1:正社員にあってアルバイトにはない「保障」
以下は正社員に備わっている反面、アルバイトには備わっていない保障です。
「傷病手当金」は、病気やけがのために働けず、賃金・給料が受けられないなどに給付されるもので最長で1年6カ月受け取ることができます。
出産時には「出産育児一時金」が1児ごとに40万4000円(産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した時は42万円)、出産手当金として産前産後で合計98日間分受け取ることができます。
2:正社員だけに用意されている「厚生年金」や「退職金」
老後の準備とは、国民年金に加え厚生年金にも加入することになり2階建の公的年金を準備できるうえ、その保険料は勤め先と折半になるのです。
老後の準備という側面では「退職金」も正社員だけに用意されているものです。
3:正社員は働かなくても給与は保証されている
また、正社員には有給休暇も付与されるているため、働かなくてもその間の給与は保証されています。働かなくてもいいという観点では、アルバイトのケースでは体調を崩して働けなかった場合、収入がストレートに減額となりますが、正社員は有給を充てることで収入の減少を防ぐことができます。夏休みがあるのも正社員だけ、ボーナスの支給も同様です。
アルバイトの場合、働いた分がそのまま収入に反映されるというわかりやすい仕組みですが、収入を多くするのは働く時間(日)を多くしなければなりません。反面、正社員は年間就業日数(逆にいえば年間休日数)が決められているので、その間働ければきちっと収入をいただくことができるのです。
さらに会社を辞めた場合も「失業給付」を受け取ることができるのです。
正社員とアルバイトではセイフティーネットの面で大きな差が
ざっと見ただけでも正社員の保障(補償)は多岐にわたっているのがわかるはずです。
企業によっては独自の健康保険制度などの福利厚生制度を設けていることから、正社員とアルバイトではセイフティーネットの面で大きな差があることが理解できるはずです。
これらを並べてもアルバイトの方が気楽だからといえますか?