なんだか理不尽……離婚後の日々
納得して離婚した。経済的にも大きな問題を抱えているわけではない。元夫は子どものめんどうも見てくれる。なのに、なぜかもやもやしてしまう。そんな女性の話を詳しく聞いてみたら……。
夫は協力的ではあるけれど
イツコさん(46歳)が離婚したのは昨年。2歳年上の夫との間に、当時14歳と10歳の子がいたが夫とは何かにつけて意見が合わない。これ以上、一緒に暮らしていくのは無理だと話し合い、離婚に踏み切った。
「夫はマンションのローンを払い続け、なおかつ養育費を払ってくれることになりました。彼は近くのマンションにいるので、私が出張などのときにはめんどうを見てくれています。私が残業で忙しいときは子どもたちとこちらのマンションで夕食をとることもある。とにかく子どもたちに寂しい思いはさせないようにしようということだったんです」
離婚は大人同士の問題、子どもに罪はない。ふたりはそう話し合った。結婚しているときより、元夫とは連絡を密にとりあうようになっていたという。
「ただ、今年になって少し状況が変わったんです。それまで小さなアパートに住んでいた元夫が、近くのマンションに越したという。私が出張のとき、子どもたちが元夫に呼ばれて行ったら、そこに女の人がいたというんです」
いったいどういうことなのかとイツコさんは、出張から帰って元夫に詰め寄った。すると元夫は、「ボクの恋人」と悪びれずに答えたという。
高校生になった娘によれば、「ふたりはベタベタしているわけではなかったけど、仲よさそうだった」とのこと。娘は冷静に答えたが、父親に恋人がいることをどう思っているのか本心はわからない。
子どもたちも先方の女性に懐いていって
離婚したのだから、元夫が恋愛をしてもイツコさんがとやかく言うことではないのかもしれない。だが、なぜか「イライラもやもやするんです」と彼女は言う。
「それだけじゃなくて、なぜか私の子どもたちが彼女にだんだん懐いてしまったんですよね。この春くらいだったか、私が『今日は残業なんだ、ごめんね』と言ったら、娘も下の息子も『いいよ、今日はパパのところでアリサちゃんも一緒にごはん食べるから』って。いつしか父親の恋人をアリサちゃんなんて呼ぶようになって……。元夫は『遅くなってもいいから、きみもおいでよ。みんなで仲良くしようよ』とまで言い出して」
誰も私の苦労をわかっていないと、イツコさんは涙目になる。日頃、子どもたちのめんどうを見ているのは自分、シングルでがんばっているのは自分。彼女は常にそうやって重荷を背負っている気持ちだったから、元夫やそのパートナー、簡単に寝返った子どもたちにまで怒りが募っていったのだ。
「その後、元夫に男女の関係と親同士の関係は違うし、子どもたちの母親はきみだけだよ。そんなに頑なにならなくてもいいんじゃないの?と言われました。でもね、もしかしたら結婚しているときから元夫はその女性と不倫していたのかもしれない。その上、彼女も子どもを取り込もうとしているのかもしれない。そう思うと不安でたまらないんです。元夫は『そんなことはしない。そもそも子どもたちはもう自分の意志がある年齢だよ』と言うけど……」
もちろん、子どもたちは変わらず母親を慕ってくれる。それでもイツコさんは不安なのだという。仕事にかまけている間に、夫を奪った女が子どもまで奪うかもしれないと。
「おかあさん、考えすぎ。私たちはおかあさんががんばっていることわかってるし、感謝してるから」
娘はそう言ってくれたが、父親の彼女のことも悪くは思っていないようだ。それがイツコさんの不安に拍車をかける。