お気楽?不安?面倒?別居婚を選んでみたら思っていたよりも…

別居婚と聞くと、案外、お気楽なのではないかと考えがちだが、実際にしている人に聞くと「意外と面倒」という声もある。だが、別居している分だけ距離を気にして緻密な関係を築こうとしている人が多いのも事実だ。

お気楽? それとも不安? 別居婚のリアル

別居婚と聞くと、案外、お気楽なのではないかと考えがちだが、実際にしている人に聞くと「意外と面倒」という声もある。だが、別居している分だけ距離を気にして緻密な関係を築こうとしている人が多いのも事実だ。

 

西日本と東京、遠く離れて

東京で音楽関係の仕事をしているヨシエさん(45歳)は、70代半ばの母親とふたり暮らし。母は身の回りのことはできるが、足が弱っているのでヨシエさんは常に気を遣う。だが、ヨシエさんには離れて暮らす3歳年上の夫がいる。結婚したのは5年前だ。

「もともと私も彼も音楽が好きで、東京では一緒に活動していたこともあるんです。でも彼がUターンで故郷に戻って仕事をするようになり、一時は連絡も途絶えました。ところが6年前に、たまたま彼が出張で東京へ来て、たまたま私が出ているライブハウスの前を通りかかって店に入って聴いてくれた。そこからまた連絡をとりあうようになりました」

彼は30代で1度結婚したが3年足らずで離婚。子どももおらず、もう結婚することもないと思っていた。彼女はずっと独身。そんなふたりがアラフォーで再会したのだ。

「やはり彼と話していると心地いいなぁとは思いましたが、私は母もいるし、東京での音楽活動もやめたくない。収入は少ないから、今もバーでバイトをしたりしていますが、それでもあきらめたくはないんです。彼もそのあたりはわかっていて、『じゃあ、今のままで結婚しようよ』と。それでいいの?という感じでしたけどね、私のほうは」

一般的な妻としての役割はこなせない。だが彼は、「自分のことは自分でできる。何かをしてほしくて結婚したいわけじゃない。きみと一緒に生きている感覚がほしいんだ」と言った。

「かっこいいでしょう。そこまで言われたら、もうどうにでもしてって感じです(笑)。婚姻届を出して、彼の住む場所と東京、両方で友人だけ呼んでパーティーをしました」

離れてはいるものの、毎日連絡はとりあっている。

 

2カ月に1度くらいしか会えないけれど

「彼が出張で東京に来るときは、うちに泊まります。同じ時期に私のライブがあれば聴きに来てくれる。ただ、彼の出張はせいぜい3カ月に1回くらいなんですよね。私が彼のところへ行くのは2カ月に1回くらいかな。母を放っておけないので、せいぜい1泊しかできないんですけどね」

3カ月に2回、もしくは2カ月に1回くらい会っていることになると、ヨシエさんは数えていた。日常生活上、結婚している実感はないが、彼の住む地域で行きつけの居酒屋に行ったときのこと。

「そこの大将から、『いい奥さんだって聞いてるよ』と言われて。奥さんらしいことなんてしていませんよと言ったら、彼がいつもうちの妻はステキなんだって自慢してるって。それを聞いたときはうれしかったですね。別に従来の夫婦のありようでなくてもいいんだと気が楽になった」

会えなくて寂しいこともある。いつまでもこんな暮らしでいいのだろうかと悩んだこともあった。だが、周りの目などどうでもいい。好きなように生きていってほしいと彼が応援してくれるのだから、自分は自分の道を行こうとヨシエさんは決めた。

「今はこの生活がすっかり定着しています。この前、彼とも話したんですが、距離はあってもお互いにどこかで精神的に頼りあってるよね、と。そんなふわっとした関係が私たちには合っているのかなと思います」

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    東海道新幹線の「個室」が100系以来、四半世紀ぶりに復活! 「どこに設けられる?」JR東海に聞いた

  • 「婚活」の落とし穴

    「男らしさ」がしんどい若者たち。「女性より稼いで当然」「デートもリードすべき」と言われても

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    危機管理のプロが警告! 中学受験で“御三家”を目指す親子が知っておくべき「学歴エリートの落とし穴」

  • 世界を知れば日本が見える

    深刻な少子化に苦しむ「中国」と対照的に、今こそ「一人っ子政策を導入すべき」といわれる2つの国とは