あなたが気付いていなかっただけで、もしかして!?
ドラマ「わたし旦那をシェアしてた」(読売テレビ・日本テレビ系)が始まった。シングルマザーの晴美(小池栄子)が、事実婚の夫が殺害されたと連絡を受けて駆けつけると、そこには2人のシングルマザーも来ていたのだ。つまり夫は3人の女性と事実婚をしていたというわけ。現実的ではないと思うか、現実にもそういうことがあると思うかは個人差がありそうだ。
私も夫をシェアしていた
「似たような経験をしたことがあります」
そう言うのは、ヤスコさん(40歳)だ。32歳のときに知り合った5歳年上の男性と、1年足らずで半同棲するようになった。彼女は20代のころに結婚経験があり、当時、5歳の娘を抱えていた。
「ただ、彼は仕事時間が不規則なので、会社近くに部屋を借りていたんです。だから会うのは週に半分くらい。彼が新しくマンションを借りてくれて家賃も出してくれていた。ひとりで子どもを育てている身としては本当に助かりましたね」
彼が会社近くに部屋を借りていることは前からのことだし、結婚という形態をとらないのもヤスコさん自身が望んだことだった。子どもの名字を変えたくなかったのと、彼の親族と関わりたくなかったから。というのも、離婚理由が前夫の両親との軋轢だったのだ。
「だから話し合って事実婚という形をとりました。夫が帰ってこない日も連絡はとりあっていたし、まったく疑ったこともありませんでした。私も仕事が忙しかったので、毎日、夫が帰ってくる生活より気分的にラクでしたね」
ほどよい距離感がありながらも、彼に愛されている実感があった。彼は彼女の娘にも愛情たっぷりに接してくれたという。
すべてがわかったのは、5年ほどたったときだ。彼が事故に遭い、警察から連絡が来た。あわてて病院に駆けつけると、そこにはすでに別の女性の姿があった。彼女は10年近く、彼と事実婚だと言った。
「びっくりしました。そんなことをするような男性だとは思わなかったから」
何をどう考えたらいいのかわからなかったという。
彼が記憶喪失に
その事故で、彼は記憶を失った。彼の姉を名乗る女性が出てきて一心に看護をしていた。もうひとりの事実婚女性は弁護士をたてて慰謝料を請求すると言っていたが、彼がなかなか回復しないので、ついにあきらめて去って行ったという。
「私も1年ほどはときどき彼を見舞っていたんですが、そのお姉さんがいつもいて、彼と話もさせてくれない。彼女がいないときに話したことはあるんですが、私のことはまったく覚えていなかったみたい。事実婚といっても公正証書を作っていたわけでもないので、私たちが夫婦であるとは認められないんですよね。結局、私もあきらめるしかありませんでした」
そもそも彼が自分を覚えていないことがショックだった。この状態がいつまで続くのか、そしてその先に何があるのか考えても結論は出ない。それより目の前の生活が優先された。彼女は娘とともにすぐに家賃の安いアパートに引っ越したという。
「彼から現金はもらっていなかったんですよ。家賃と光熱費を払ってもらっていただけ。彼のお姉さんに相談したけど冷たくあしらわれました。いくらか貯金はあったのでまずは引っ越して、あとは仕事を続けていくしかありませんでした」
1年ほど前、彼の姉に連絡をしたら、体の傷は治ったものの、まだ記憶は戻らないという。ヤスコさんはそれを機に、彼のことをすっぱり忘れようと決めた。
「ただ、今でも思うのは、もうひとりの事実婚の妻と私、彼はどちらを本当に愛していたのか知りたかったなと。そんなこと考えてもしかたがないんですが、やはりそこがひっかかります」
彼の愛情はどちらにより強く向いていたのか。女性はどうしてもそこが気になってしまうのかもしれない。