男は、不倫相手に子どもを産んでほしいと思うもの?
女性が不倫相手の子を産みたいと思う話はときどき聞くが、男性側はどう思っているのだろう。かつて不倫をしていたことがある男性たちに聞いてみた。
避妊には細心の注意を払っていた
「こっちが既婚で子どももいるのだから、つきあっている彼女が妊娠するのは絶対にまずいと思っていました。だから細心の注意を払って避妊していましたね」
カズノリさん(46歳)は、そう過去を振り返った。彼が不倫していたのは、39歳からの2年間。相手は仕事で知り合った、7歳年下の独身女性だった。彼女は結婚願望はない、子どももほしいと思わないと言っていたが、彼はその言葉をまったく信じなかった。
「彼女のことは大好きだった。子どもがいなければ離婚していたかもしれない。だけど当時、僕には9歳と7歳の子がいたんです。父親としての責任はとらなければいけない。彼女とのことは恋愛であって、家庭とは関係ないこと。そう割り切らないとやっていけないと思っていた」
楽しいのは恋愛。だが大事なのは家庭なのだ。
「つきあって2年ほどたつうちに、やはり彼女の頭の中に“結婚”の二文字がちらつくようになっていった。僕は離婚はできないと最初から言っていたから、結局、彼女のほうから去っていきました。つらかったです。本気で好きだった。でも今思えば、揉めたり憎んだりしなかったから、あれでよかったんだと思う」
家庭がある場合、やはり相手に子どもができると事態が複雑になる。子どもへの影響も考えてしまう。カズノリさんは深刻な表情でそう言った。
状況次第かも……
「僕も基本的には、家庭外で子どもができたらまずいなあとは思っています。ただ、僕の父親が死んだとき、異母妹がいることがわかったんですよ。母親は複雑だったと思うけど、僕は自分がひとりっ子だと思っていたから、異母妹の存在はちょっとおもしろかったですね」
マモルさん(48歳)は穏やかにそう言った。10歳下の異母妹とは、今もときどき会って食事をしたりしているという。
夫の死後、よそに子どもがいたと知ったら妻としてはおもしろくはないだろう。ただ、マモルさんの家庭の場合、異母妹の母親というのが非常に奥ゆかしい人だったらしい。
「父が認知していたのですから、異母妹にも当然、財産分与の権利はあるんですよ。だけどそちらの母娘は、通夜も葬式も来なかった。僕らが知らされたのは、父の弟からです。あるとき墓参りに行ったら、命日に誰かが先に花をあげていてくれて。一周忌も過ぎたころでした」
財産分与も求めてこなかった異母妹とその母親に、マモルさんは関心をもった。それで異母妹に会ってみたのだ。
「父と彼女の母親は20年に渡るつきあいがあったようです。お父さんは仕事が忙しいから、毎日家に帰ってこないと子どものころは思っていたとか。いろいろ話を聞いていたら、父には僕たちの知らない世界があったんだな、と。今はそれはそれで幸せだったんじゃないかと思っています」
とはいえ、マモルさんは自分には同じことはできないと感じている。
「僕も結婚後に恋愛したことはありますが、子どもをもつのはリスクが大きすぎる。精神的にも経済的にも無理。ただ、本気で愛した女性が僕より資産があって、どうしても産んでひとりで育てると言われたら反論はできないかもしれない。いや、どうかな……」
実際、そういう立場になってみないとわからない、と彼はつぶやいた。