子どもたちに英語を教え始めたきっかけ

私は5年ほど前から、子どもに英語を教えています。

そのきっかけは、児童館でボランティアで英語を教えていた英語の先生を見たこと。歌や踊りが好きで、英語を使う翻訳などの仕事をしてきた私は「これなら私にもできるかも」と思い、ボランティアのような価格で、教え始めることになりました。

それから5年。最初は幼稚園児中心だった生徒の年齢層が徐々に上がり、幼稚園児から高校生まで教えるように。そして、子どもの教育、特に英語教育について思いを巡らせることが多くなりました。
 

中学に上がると英語が苦手になる!?

そんななかでも、心が痛むのは、生徒の中学生になってからの英語との付き合い方に関してです。

多くの生徒が小学校までは「学校の英語も楽しい」と話すのに、中学生になってしばらくすると「英語、大変……」と言い出し、なかには「英語で話したりするのは楽しいけれど、学校の英語の勉強は楽しくないな……」と話すようになってしまう子も出てきてしまうこと。

そのたびに、私は悲しくなります。なぜ、こんな風になるのか? 自分なりに考えた結果、一番大きな原因は、私が中学生の頃から変わらない、教え方のスタイルにある、と考えるようになりました。

教科書の基本的な内容、教える文法の順番は、私が中学生だった20年以上前とほとんど変わりません。テスト準備も、まずは膨大な量の単語を覚えることからスタート。そして、文法に関する問題をちゃんと解けるようにして……という流れのままです。

私が中学生の頃とテストの内容もあまり変わりません。こういった英語の勉強方法って楽しかったっけ? 思い返すと、決して楽しいものではなかった気がします。これをやったから、話せるようになった? いや、単語は覚えても話せるようにはならなかったと思います。

その結果が、私たち30代、40代の英語でのコミュニケーション力の低さにあらわれていると思うのです。「読み書き、文法は分かるのに、言葉が出てこない」同年代から、この類の悩みをたくさん聞いてきました。

一方、今のビジネスの現場で求められている英語の能力は、コミュニケーション力なわけです。今の中学校の英語教育では、私たちの世代と同じような大人がたくさん出てきてしまい、今の教科書ではなかなか身につかないのは明白ではないでしょうか。
 

英語でのコミュニケーション力をつけるヒント

では、どんなことをすればいいのでしょうか? そのヒントは、欧米の子どもたちの英語の習得法にあると私は考えています。英語のレッスンで、私はyoutubeの動画をたくさん使って教えています。

100までの数を覚える歌、惑星の名前を楽しく覚えるラップなど、子どもたちが釘付けになる動画が、youtubeの世界にはあふれています。これらの歌を時には手遊びや踊りを使いながら歌っていると、子どもたちはあっという間に英語の単語を覚えていくのです。

また、英語圏では「phonics」という英語の音で読み方を習う方法があるんです。 日本の英語教育でも取り入れられ始めていて、とてもいいことだと思っています。この方法を使えば、驚くほど簡単に英語を読めるようになり、音から文字を書けるようになるので、単語を書くのも非常に楽になるわけです。

私はレッスンで英語のみの教科書を使い、なるべく英語で指示するスタイルでレッスンをしています。子どもはとても柔軟なので、日本語で答えながらも、だんだんと意味を雰囲気で理解できるようなっていきます。

その結果、文法的には決して正しくはないけれど、伝わる英語を使って英語を話し始める子がたくさん出始めました。これを土台に文法力が加われば、コミュニケーション力が高い子どもがどんどん出てくると思うのです。ハードルは高いとは思いますが、英語のみの教科書で授業をするスタイルに変えることも、検討していただきたいと思っています。
 

子どもの英語力が身につくゲーム

他にも、子どもが夢中になるツールがあります。それは、パソコンのゲームです。英語圏にはABC mouseやEducation.comという、ゲームを用いて英語の読み書きや数学力を身につけるオンライン教材があります。

レッスンでこの教材を出すと、子どもたちは高い集中力を持って取り組み始めるのです。分からない言葉が出てきても、必死で理解し、ゲームをしようとするんですよね。ゲーム好きの子どもたちの特性を生かし、こういったツールを使って授業ができたら、子どもたちのリスニング力は飛躍的に上がると思っています。

ノルウェー在住の日本人のお母さんが、コラムで紹介していた方法も、大いに参考になりました。ノルウェーにはノルウェー語のゲームソフトが少ないのです。かわりに英語のゲームソフトがたくさん出回っています。

やりたいビデオゲームをするには、英語を理解するしかない……。こういう状況に置かれるので、子どもたちは英語を理解するようになるそうです。日本の子どもたちもゲームは大好き。せっかくだから、ゲームも英語仕様にできるようにして、自由時間のゲームは英語でするようになったらどうでしょう。そんなゲームが作られるといいですよね。

好きなことと英語を結び付ければ、子どもたちの中で「英語は楽しい」という気持ちが持続するはず。英語が好きで楽しい、という子どもたちが大人になれば、バイリンガルの人がいるのが当たり前……という日本社会に変わっていくのではないでしょうか。そのカギを握るのが、中学からの英語教育にある、と私は強く感じています。