令和初のボーナスの季節がやってきました。「初」といわれるとウキウキする気分になりますが、この夏のボーナスは残念ながらウキウキとはいかないようです。
日本経済新聞社が5月24日にまとめた賃金動向調査(中間集計)では、支給額は前年比0.05%増に留まるようです。前年比プラスは7年連続となりますが、増加率は前年より3.89ポイント縮小しているのです。同社の調査は大企業が中心であることから、全企業ベースだと増加率はマイナスとなる可能も否定できません。
米中貿易摩擦などの影響により世界経済の成長率の伸びが鈍化していることから、今冬のボーナスまで俯瞰すれば、前年と比較してボーナスは減額となることも絵空事ではありません。なぜなら、企業は社員への還元(給与)を、基本給よりもボーナスによって行う傾向が強いからです。
給与総額がボーナスの影響を大きく受けている
図1は国税庁の「平均給与・賞与等の伸び率」です。これを見ると、給与総額がボーナスの影響を大きく受けていることがわかります。
たとえば2016年、給与・手当は前年比プラスとなっていますが、賞与(ボーナス)はマイナス。結果、給与総額の伸びはボーナスが足を引っ張り、その伸び率は給与・手当を下回っていることがわかります。反対に、2014年などは賞与の伸び率が高いため2016年とは逆の現象が起きているのです。
簡単にいえば、企業業績が良いときはボーナスが大きく増える一方、悪いときはボーナスが大幅にカットされることになるのです。ボーナスに依存した家計管理を行っていると、ボーナスがカットされた途端、家計は火の車になるかもしれないというわけです。
生命保険の保険料を年払いしている人、住宅ローンをボーナス併用払いにしている人などは、その支払い分を12カ月で割って毎月の支出で管理する癖をつけておくべきです。月割にしておけば、ボーナス分は家計の余裕部分になるため、その分を貯蓄に回す、頑張ったご褒美に一部を使う等々、使途自由に使うことができるわけです。
大企業に勤めている人ほど要注意?
給与総額(年収)がボーナスに影響を受ける割合は、企業規模(従業員数)が大きくなるほど大きくなります。図2は事業規模別給与に占める賞与の割合です。これを見ると従業員数が1000人を超えてくると、給与総額に占めるボーナスの割合は20%を超えているのがわかります。
つまり、大きな企業にお勤めの人ほどボーナスに依存した家計管理を行っていると、その影響が大きくなるというわけです。もらってうれしいボーナスですが、企業業績との連動性が高まった以上、その支給額はより景気動向に左右されるというわけです。
雇用形態が変われば、給与も変わる……
折しも経団連(経済団体連合会)のトップが「終身雇用を維持し続けるのが難しくなってきた」と発言しました。既に終身雇用自体が崩れているとの見方もありますが、トップの発言は重いと考えるべきでしょう。
雇用形態が大きく変われば、給与の支払い方法も大きく変わるはずです。年俸制に変わり、ボーナス支給はなく給与は月払いのみという変化もありえないわけではありません。令和初のボーナスが期待できない今、将来を見据えて家計管理を見つめ直す良い機会と思えてなりません。