子どもの教育は何が正解かわからない、けれど……

子育て世代にとって「子どもの教育」はいつも気になり、悩まされることの1つですよね。ところが、子どもは自分とは違う人間で、親がどんなにがんばっても思うようには動かず、むしろ真逆の方へと全力疾走するもの……。
 

私自身も、小学生の男女2人の子どもを育てている親の一人です。学校からのプリントを自分から出さないとか、墨がついた手を何でおろしたての真っ白いタオルで拭くのとか、日々いろいろなことと格闘し、ふと我に返り、元気でいることに感謝しながら日々を過ごしています。
 

子どもの教育は、いったい何が正解かはわかりません。立派に育て上げた方々のお話は非常にためになりますが、ふとわが子やわが身を振り返ってみると、そもそも子どもの性格や能力も違い、親のタイプも違う。誰かの教育法をそっくりそのままマネしても、そううまくはいきません。
 

ベストな解はわからない。けれど、たくさんの情報を取り入れながら、わが子と我が家にあった方法を選び、トライ&エラーを重ねながら、ベターな解を探しつづけていくことが「子どもの教育」なのだと感じます。
 

子どもの教育の2つの軸とは

とはいっても、「子どもの教育」で大切なこととして、誰にでも共通するような、普遍的なことがあることも、また事実でしょう。これまで取材で、教育に関する多くの専門家のお話や、多くのご家庭の(お金のことを含めた)お話を聞いてきました。
 

子どもの教育には、大事な「2つの軸」があると感じます。
 

1つめは、学校や塾、習い事など「どこでどんなことを学ばせてあげるか」。

2つめは、「親が家庭で、子どもに何をしてあげるか」です。
 

1つめの、学校や塾、習い事など「どこでどんなことを学ばせてあげるか」は、人生が100年も続く時代。これまた正解がありません。ただ1ついえることは、お金が密接にかかわるということです。
 

最近は早期教育が盛んで、周りの友達の話を聞き「うちも通ったほうがいいのではないか」と不安になり、通い始めたという声も多く聞きます。でも、子どもにとって何が向いていて、何が向いていないかは異なりますし、複数の習い事等に通うと、時間もお金もなくなってしまいます。幼少時代は、学校の費用があまりかからないので、幼児教育や習い事にお金をかける方も多いですが、家計がカツカツ&貯蓄ゼロになってしまうことには要注意です。
 

将来子どもが「私立大学に行きたい」「遠い大学に行って一人暮らしをしたい」「ホームステイや留学をしたい」「大学院に行きたい」という熱い要望が出てきたときに、費用が足りず、叶えられないかもしれないからです。
 

教育費については、赤ちゃんのころから長い目で考える

教育のお金のかけ方は、長い目で考えて、うまく配分をしていくことが大切です。
 

教育費は、基本的には大学受験のタイミングから大きな費用がかかるので、子どもが小さいうちから毎月少しずつ貯めていく(できれば児童手当は全部貯める)ことを原則にしましょう。
 

子どもが高3年の夏までには、300万円以上の準備をしておきたいところです。高3の冬ではなく夏というのは、推薦入試を受けることになれば、早めに手続きが始まるからです。私立大学進学や一人暮らしが選択肢に入りそうなら、500万円以上が目安。留学の可能性があれば、それとは別に貯めておきましょう。
 

事前にお金の準備ができていれば、子どもが大きくなってから、具体的に進みたい道が見えてきたときに、親はお金の面で応援できます。マネープランを立てることは、親がしてあげられる「子どもの教育」の大きな軸の1つです。
 

家庭で、親が直接教えてあげられること

では、もう1つの軸。家庭で、親が直接教えてあげられることとはなんでしょうか。最近は共働き家庭が増え、「子どもと接する時間が短い」という声もよく聞きます。
 

親が二人とも仕事をしていると、家では食事や片付け、洗濯、掃除などの家事に追われ、時間との勝負。私自身も反省ばかりですが、「早く寝なさい」「宿題はやったの」といった、事実確認や指示のような言葉ばかりが飛んでしまいます。
 

ですが、自分自身の幼少時代を思い出してみるとどうでしょうか。親にたわいもない話をゆっくり聞いてもらえることは、うれしかったはず。早く寝なくてはならないことも、宿題をやらなければならないことも、本当は子ども自身がよくわかっています。
 

父や母とたわいもない話をすることで、うれしい気持ちが心の中にたまっていき、自信につながっていくでしょう。そうして(時間はかかりますが)自分から行動を起こせる人になるのかもしれないと、自戒をこめて思います。
 

子ども自身が、解を持っていることもある

私自身の体験談になりますが、今から20年ほど前に「いつかフリーランスになりたい」という話を両親にしました。すると、猛反対にあいました。「いい会社にいるのに、なぜわざわざそんなことを」と。
 

そのとき、私は反発しましたが、今、親になってその気持ちは痛いほどよくわかります。さらにフリーランスが少ない20年前であれば、心配するのは無理もありません。
 

ですが今、実際にフリーランスになって15年目を迎え、私自身や我が家にあった働き方だと感じているところです。母親は亡くなっていて、私がフリーランスになったことを知りませんが、生きていたらきっと「よかったね」と目を細めてくれることでしょう。父は今、全力で応援してくれています。
 

親と子は、生きている時代が違います。そもそも得意分野も違うので、「子ども自身が解を持っていることもある」ということを、肝に銘じることが必要ではないでしょうか。
 

それゆえ、子どもの教育の2つめの軸として、親が家庭でできることは「子どもの一番の理解者として、応援してあげること」なのかもしれません。
 

とはいえ、共働きだと親子の会話の時間も取りづらいので、「お金を使って時間を買う」という方法もあります。
 

ちなみに我が家では、定期的にプロに大掃除を頼んでいます。数万円という高い出費ではありますが、プロの技でピカピカしてもらえ、家族との時間も増える。金額以上の価値を感じています。外食の回数を何回か減らしたとしても、続けていきたいと思います。
 

「安い」「高い」で判断しがちな世の中ではありますが、「我が家にとって価値があるか」ということが、お金の上手な使い方なのではないでしょうか。
 

新しい時代は、その子らしい価値を高めることが大切

新しい時代になり、有名大学や有名企業に行くことが、必ずしも幸せではない時代。幸せの価値観は多様化し、今の子どもが大人になるころは、多様化はさらに進んでいることでしょう。
 

AI化が進めば、「人間ならでは」の価値が高くなるはずです。それなら「成績を少しでも上げること」というよりも、「わが子ならではの、人間的な価値を上げること」に注力することが、これからの教育で大事なことなのではと思います。
 

今後どうなるかがわからない時代だからこそ、子どもがもう少し大きくなってから好きなことに挑戦できるように、教育費はしっかり貯めておくこと。そして、わが子の話を聞く時間を、ほんの少しでも多く持てるようにしたいもの。それには、無駄な出費はおさえつつ、我が家にとって価値のあるお金の使い方をして、家族の時間を増やすこと。
 

それこそが、これからの新しい時代を生きていく子どもの教育で、大事なことなのではないでしょうか。