子どもを怒る夫を不快だと感じる妻の心理
自分はときどき感情的になって子どもを叱ってしまう。だが、夫が子どもを叱るのを見ると、「なんだかもやもやする」と感じる妻は多い。「自分はいいけど夫はダメ」と思ってしまうのはなぜなのだろう。
子どもは自分のもの?
「家事に仕事に育児。やるべきことが山積みでいつもイライラしているのが現状です。だからつい、子どもを理不尽に怒鳴ってしまうこともある。反省はしているんですけど……。ただ、たまに夫が子どもを叱っているのを見ると、それはそれでもやもやするんですよね」
カヨさん(41歳)は苦笑しながらそう話す。8歳と4歳の子をもつ彼女はたまたま会社でカウンセリングにかかる機会があり、その話をしてみたそうだ。
「子どもは自分のものだという意識があるのではないかと言われました。ちょっと思い当たるところがあるんですよね。私の子だから、夫が子どもを叱っているのを見ると自分が叱られているような気になるのがひとつ、あとは私の子なのにどうしてあなたが叱るのよ、という苛立ちがひとつ。子どもとの間に溝はないんです、私が産んだ子だから。だけど夫とはいつまでたっても他人。だから他人に私の子が叱られるのがなんだかイヤなのかもしれません」
母親が子どもを分身のように感じるのは、産まれてくる経緯を考えればある意味で当然なのかもしれない。だが、同時に夫も「親」であることに変わりはない。
夫はいいとこ取りばかりする
「ただ、夫は子どもが自分でもいけないことをしたなとわかっているときしか叱らない。そういうときに説教すれば子どもも納得するに決まっている。それで子どもの教育とはこういうものだと言わんばかりに私に向かってドヤ顔するんですよね。そんな夫に腹が立ちます」
子育てに夫ももっと積極的になるべきだと思いつつも、実際に夫が介入してくると自分だけいいとこ取りしていると責めるのは、どこか筋が違うような気もするが。カヨさんももちろんその矛盾はわかっている。
「家事はもっとやってほしい。子どもとも当然関わるべき。だけど子育ての重要なところは私が担っているんだという自負がほしいのかもしれません。どちらが子どもに好かれるかを競争しているような……。不毛な争いをしかけているのかな、私」
子どもを相手に、夫婦がそれぞれ自己主張を繰り広げたり自己顕示欲を満足させようとしているとしたら、まずは夫婦が自分たちの問題を話し合ったほうがいいはず。
「同じように働いているのに家事や雑事の負担は私のほうが大きい。いつもそのことに不満があります。話し合っても解決しない、そもそも話し合う気が起こらないし。揉めごとが起こると、それでまた不快になりますから、お互いに揉めごとは避けながらなんとか日常を過ごそうとしている状態なんですよね」
子どもたちが大きくなっていくことで解消される問題なのか、あるいは解決を後回しにしているだけなのか。そこを見極めないといけないと、彼女は自分に言い聞かせるように話した。