令和時代の女の生き方、格差は広がるのか
「勝ち組」「負け組」という分け方には嫌悪感がある。人生、終わってみなければわからないし、本人がどう思うかは別だからだ。女性の生き方に関しても、家庭をもって子どももいて仕事も順調、というステレオタイプが勝ち組であるとは、もう言えない時代に入っているのではないかと思う。
現代「勝ち組」の実状
夫は一流企業の出世頭、本人は小型のベンツを乗り回し、夫の親が経営するブティックを手伝い、子どもは有名私立中学に通うという、どこから見ても幸せそうな女性・サヤカさん(41歳)。もちろん、本人も自分がいかに幸せかを強調するのが習性となっている。だが、本当のところはどうなのか。
「9歳年上の夫には長年の愛人がいます。隠し子もいます。お互いの実家の集まりとか夫の仕事関係のパーティーとか、公の場に出るときは仲良しを装っていますが、ふだんはほとんど会話もありません。夫は何かあるとトークアプリで伝えてきます。夫がいつ帰宅するのかはわからないし、平日は家で食事をとることもないんです」
親戚からの紹介でお見合いのような結婚だったふたり。最初から愛情はなかった。彼女は安定した富裕層の生活を望み、夫は美貌の妻を求めた。そういう意味ではニーズが一致していたのだ。
「でもね、こんな生活にはもう飽きました。本当はどこか自然の豊かなところで、カフェを経営してみたい。自分で野菜を作ったりしてね。もともと実家が農家なので、農作業は得意なんです」
色白のサヤカさんだが、土と太陽にまみれて自然派の暮らしをするのが望みだという。夫が人づきあいを好まず、彼女の友人を家に招くのも嫌がるため、心許せる友だちもいない。
「結婚当初は周りの友だちにも羨ましがられたし、私、勝ち組じゃんって思ったこともあるけど、結局、中身のない空虚な生活だなと感じています」
もちろん、彼女が「平成勝ち組」の代表というわけでは決してない。
自分の人生を堪能する時代へ
「結婚したくない」女性が出てきた。「子どもはいらない」と言う女性もいる。誰もが「自分らしく生きたい」と願っている。世間体を気にしたり周りと比較したりしなければ、自分らしい生き方は可能な時代になっている。
「パートナーはいますが、彼はアメリカや中国で仕事をしているんです」
ヨウコさん(40歳)はそう言う。彼女は都内で外資系の会社に勤めている。
「私も海外出張がときどきあるし、彼と会えるのはトータルしても年に2、3カ月あるかないか」
彼は3歳年下のアジア系のアメリカ人で、彼女がアメリカに出張したときに出会って意気投合した。結婚の話が出たこともあるが、どこでどう手続きをするのか考えるだけでもめんどうだったと笑う。それでも恋人関係になって5年がたつ。
「届けなんてどうでもいいじゃんということになりまして。毎日のようにメッセージのやりとりを重ね、お互いに会えるときを楽しみにしながら仕事をしたり趣味に打ち込んだり。いつかリタイアしたとき、ふたりでヨーロッパあたりでのんびり暮らしたいねという話はしています」
どんな人生を選ぼうと自由である。それをいち早く発見して、自分の道を極めていくことがいちばん大事。そう思えたら、昭和や平成とは違う女性の生き方が見えてくるかもしれない。