結婚の形が変わっていく
婚姻届を提出する従来の結婚もあれば、最近は事実婚、週末婚、遠距離婚など、さまざまな結婚の形がある。家族観が変化している今、別居で事実婚という女性に話を聞いた。
バツイチだから再婚には消極的だった
バツイチで10歳の子をもつシングルマザーのマミコさん(42歳)は、3年前から4歳年下のユウトさんと「事実婚」状態で暮らしている。とはいえ、同居はしていない。別居のままの事実婚だ。ふたりの間で公正証書を作ってはある。
「実は元夫と私と今夫、それぞれが同じマンションで部屋を借りています。息子は基本的には私と一緒に暮らしていますが、私が仕事で遅くなるときは元夫か今夫がめんどうを見てくれるんです」
息子は元夫を「パパ」と呼び、今夫を名前で呼んでいる。今でこそうまくいっているが、ここに至るまでにはいろいろな葛藤や悩みがあったという。
「離婚したのは息子が4歳のとき。元夫の浮気が原因です。ただ、元夫はどうしても子どもと離れたくないという。私も夫婦関係を解消すれば、元夫とは親同士としてうまくやっていける気がしたので、離婚後、同じマンションに部屋を借りたんです。息子がどの程度理解していたのかわからないけど、ママもパパもあなたのことがいちばん大事ということだけは常に伝えていました」
元夫とも、子どもに関することだけは連絡を密にとりあっていた。
恋人ができたけれど
その後、マミコさんに恋人ができた。彼は結婚したいと言ったが、再婚となるマミコさんは慎重だった。
「そもそも私は結婚には向いていないような気がしていたんですよね。離婚したときに名字も戻してしまったので、また名前が変わるのもめんどうだった。名前が二転三転するのは子どもも混乱するし。そうしたら彼が、じゃあ事実婚にしよう、と」
1年かけて話し合い、いろいろ調べてもみた。彼もマミコさんも仕事をしているので、事実婚であっても特に不利益をこうむることはないようだと判断。事実婚を証明するためには、住民票に「妻(未届)」と書いて提出することもできるのだが、世帯が一緒でないためむずかしい。そこで公証役場で公正証書を作った。これで、たとえば医療上の重大な判断をするときなどはスムーズに進むことが多い。
「同じマンションで仲良くなった人たちには私たちの現状を話したりしています。みんなおもしろがってくれていますよ。年配の女性などは『いいわねえ、そういう暮らし方もあるのね』と羨ましがっています。結婚とはこうあるべきもの、という枠を取り払えば、もっと自分らしく快適に過ごせるものなんだなと私自身も思っています」
姓や戸籍を同じにして一緒に住んで……が「結婚」とは限らない。もっと自由に生きる術があるのではないだろうか。