残りものに『福』はあるのか、それともないのか

「残りもの」というと言葉は悪いが、晩婚にはそれなりのメリットもデメリットもあるのかもしれない。「福があった」と思ったのは、「結婚願望が強すぎて判断ができなくなっていたからだった」と後悔しているのはキョウコさん(42歳)だ。

ずっと結婚、したかったけれど……

「残りもの」というと言葉は悪いが、晩婚にはそれなりのメリットもデメリットもあるのかもしれない。「福があった」と思ったのは、「結婚願望が強すぎて判断ができなくなっていたからだった」と後悔しているのはキョウコさん(42歳)だ。
 

「結婚できないよりいいでしょ」と言われて

キョウコさんが結婚したのは40歳のとき。相手は2歳年下だった。どちらも初婚。

「友人の結婚式の二次会で知り合ったんですが、彼はけっこう強引にぐいぐい来るタイプ。今まで会ったことのない感じで、それが心地よかったんです」

彼女はとあるメーカーの中間管理職。彼は何度か転職を繰り返していて契約社員として働いていた。

「友だちはみんな反対でした。彼の収入が低いこと、ちょっとエラソーなことが理由でしたね。でも私は収入は気にしていなかったし、彼は正義感が強いんだと思っていました」

キャリアを積み重ねてきた彼女に、ズバズバとものを言ってくれる人はあまりいなくなっていた。だが彼は叱ってくれる。この人と一緒にいたら自分が成長できるはずと彼女は思い込んだ。

「つきあって半年で結婚の話が出るようになって。さんざん婚活もしてきて、もうあきらめたほうがいいのかもしれないと思っていたところだったので、彼が結婚という言葉を出してくれたのが本当にうれしかった。そのとき、彼は『あなただって1回くらいは結婚したいでしょ。できないよりしたほうがいいでしょ』と言ったんです。私はうれしかったんだけど、友だちに言ったら『なにそれ、バカにされてない?』って……」

だがそのときにはわからなかったのだ。「結婚」という言葉に目がくらんでいた。

 

気になることは多々あるけれど

結婚して一緒に住むようになると、キョウコさん自身、気になることが多々出てきたという。

「彼は従来の男役割、女役割にとらわれている人なんですよね。というか、女ならそんなことができて当たり前だろう、という感じ。ふたりともフルタイムで働いているのに、日常の家事はほぼ私です。彼はキッチンには入らないタイプ。でもパソコンの具合が悪いと直してくれるし、家具なんかもけっこう器用に作ってくれる。『こういうことは男がやるべきなんだ』と言って。そこを私がどう考えるかですよね」

埃がたまっていると、彼はイヤな顔をして指で埃を撫でる。食卓におかずが少ないときも、「作り置きくらいしておけば?」とイヤミを言う。そんな生活に疲れてくると、彼が使いやすい棚を作ってくれたりするので、また何とか我慢できる。そんな日々が続いているという。

「友だちが『それって軽いDVみたい』と言うんですよ。イヤミを繰り返して、最後に妻が喜びそうなことをする。本来なら、もっと日常生活での雑事を分け合ったほうがいいのにって。言われてみるとその通りなんですよね」

彼に文句を言われないように掃除をしよう、彼が不機嫌にならないようにおかずをもう1品つくろうと考えるのは、確かにDVを受けている被害者の気持ちに通じるところがある。

「話し合うといっても彼が弁が立つので言いくるめられてしまう。私自身も我慢できないほどひどい目にあっているわけじゃないし……と思うし。でも毎日が楽しいかと聞かれたら楽しくはない。あんなに結婚したかったのに、何のために結婚したいと思っていたのか、今はわからなくなっています」

今、彼女は信頼できる友人とときどき会って、自分の結婚生活の問題点を見つめ直しているところだと語る。「我慢できないわけではない」が、「楽しくはない」結婚生活をどう軌道修正していくのか、あるいはスタートに戻るのか、彼女の考え方次第かもしれない。

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