森保一監督の真意はどこにあるのか?(写真:徳原隆元/アフロ)

サッカー日本代表のチーム強化が、新たなフェーズへ突入した。3月22日にコロンビアと、同26日にボリビアと対戦するメンバーが発表され、先のアジアカップを戦ったメンバーから13人もの入れ替えがあったのだ。森保一監督の真意はどこにあるのか?
 

主力4人の招集見送りはリスクヘッジ

1月の大会初戦から2月1日の決勝まで7試合を戦ったアジアカップで、森保一(もりやす はじめ)監督はメンバーをほほ固定した。センターバックの吉田麻也、左サイドバックの長友佑都、右サイドバックの酒井宏樹、それに1トップの大迫勇也の4人は、ロシアW杯の経験者であることも含めて主力と見なされた。
 

ところが、今回発表された23人に、彼らの名前はないのである。


なぜか。22年のカタールW杯アジア予選が、今年9月からスタートする予定だ。来るべき真剣勝負を前に、現状では取り替えの効かない4人を起用できない場合への備えを、森保監督は進めておくつもりなのだろう。
 

50歳の指揮官は、6月のコパ・アメリカも見据えているに違いない。
 

南米王者を決める通称『コパ・アメリカ』に、日本は招待参加する。南米連盟に所属する正式な出場国ではないため、クラブの許可なしに選手を招集することはできない。大迫に十分な休暇を与えたいブレーメン(ドイツ)は、すでに招集拒否の意向を示している。吉田が在籍するサウサンプトン(イングランド)、長友がプレーする(ガラタサライ)、酒井が在籍するマルセイユ(フランス)が、同様の態度を取ることも予想の範囲内だ。そうしたことも見越して、今回は4人の招集が見送られたとも考えられる。
 

香川の復帰で2列目の競争が激化

トルコのベシクタシュへ期限付きで移籍した香川真司(写真:Abaca/アフロ)

一方で、代表復帰を果たした選手もいる。香川真司だ。
 

ヨーロッパの18-19シーズンの前半戦で、香川は当時在籍するドルトムントから戦力外のような扱いを受けていた。しかし、2月からプレーするベシクタシュ(トルコ)では、デビュー戦の2得点を含む3ゴールを決めている。
 

3月17日で30歳になったが香川は、ここから円熟の境地へ入っていく。クラブでプレー時間を確保し、コンディションさえ整えば、代表招集は驚きではない。
 

32歳の乾貴士も、追加招集されたアジアカップに続いての代表入りである。彼も2月から所属クラブが変わった。新天地のアラベスではスタメンを確保しつつあり、2得点と結果も残している。また、乾、香川とともにロシアW杯に出場した宇佐美貴史も、今回は招集された。
 

森保監督が基本布陣とする4-2-3-1で、2列目と呼ばれる「3」のポジションはいち早く世代交代が図られてきた。ロシアW杯に出場していない中島翔哉、南野拓実、堂安律の“三銃士”が、注目を集めてきた。そこに経験豊富な乾、香川、宇佐美が戻ってくる。2列目の競争は、チームが新たなフェーズへ突入していく象徴と言っていい。
 

1トップには旬の2人が

大迫不在の1トップには、鎌田大地と鈴木武蔵がピックアップされた。クラブで結果を残している“旬な2人”だ。
 

鎌田はベルギー1部のシントトロイデンで、3月11日のリーグ29節までに12ゴールをマークしている。それまで在籍したサガン鳥栖とフランクフルト(ドイツ)ではトップ下と呼ばれる2列目中央での出場が多かったが、FWとして得点能力を開花させた。
 

鈴木は昨シーズンのJ1で自身初の2ケタ得点をマークし、プロ7年目でブレイクを果たした25歳だ。北海道コンサドーレ札幌の一員となった今シーズンも、第3節終了時点で3得点をあげている。
 

DFラインの背後を取るスピーディな動き出しが、鈴木のストロングポイントだ。中島や南野はリオ五輪代表当時のチームメイトで、スムーズな連携が見込める。
 

最前線でボールを収める大迫とは、どちらもプレースタイルが異なる。鎌田と鈴木のポテンシャルを、森保監督はどのように引き出すのか。基本システムの4-2-3-1ではない戦い方も、指揮官は考えているかもしれない。