「さぁどうなる?」で視聴者をクギヅケにする『3年A組』

日曜日の夜をザワザワさせているのが『3年A組ー今から、皆さんは人質ですー』(日本テレビ系/日曜夜10時30分~)。生徒の自殺、教師による立てこもり、爆破が続く校舎、刺激的な展開が続くが、視聴者が引き込まれるのは、そこだけではない。

オリジナル・サウンドドラック(2019/2/27発売予定)/出典:Amazon

生徒たちは自ら決心し、強くなる!

物語の大きな要素のひとつが生徒たちの成長。スリリングなエンターテインメント性も光っているが、学園ドラマの本筋もきちんと描けているところに作品のチカラを感じる。

おまつり騒ぎは大好きだが面倒が起きるとヒトゴトにする彼らが、自ら考え行動を起こすことを強いられる3年A組。心に刺さる柊の言葉は自立を力強く促し作品を重厚にする一方、第5回では学校に残ることを彼らは自ら決心、柊がいない場所で生徒たちが決心した自立への道のりも丁寧に描かれている。

この流れは『3年B組金八先生』などで見た学園ドラマの真髄でもあるが、ここに加わるミステリーのスパイスとセルフプロデュースが強い時代へのアプローチが『3年A組』のおもしろさだ。
 

身近なシーンが織り込まれる劇場型の展開

2つ目の魅力は、フェイク画像の拡散、SNSでの情報収集、私たちを取り巻く危うい現実が散りばめることで、立てこもりという非日常を実感しやすくなっている点。メディア露出を続ける教師、武智大和(田辺誠一)の違和感や論じるコメンテーターたちの浅はかさなど、現代社会の寒々しさを象徴した演出のさじ加減もうまい。

骨太な心理戦を描いたドラマにコメディタッチのシーンを織り込むとチープな印象になりやすいものだが、俳優部の演技力と演出の巧さがそうはさせない。臨場感を高め、世の中の薄ら寒い空気感を生むことに成功し、細部までしっかりつくりこまれた力作と言える。
 

菅田将暉が引っ張る生徒の演技力

菅田将暉 アニバーサリーブック 限定版 『 誰かと作った何かをきっかけに創ったモノを 見ていた者が繕った何かは いつの日か愛するものが造った何かのようだった。 』(2019/2/21発売予定)/出典:Amazon

菅田将暉なしでは考えられない本作。生徒たちを黙らせた初回のエキセントリックに闘う姿から、病気の痛みをこらえながら目的を果たそうとする強さまでをみごとに表現する、力のある俳優だと改めて感じる。何より彼の演技は生徒たちを巻き込み、彼らはどんどん磨きをかけている。3つ目の魅力はこの生徒たちの演技力だ。

成長する姿を表現するには、脱皮する様子を見せる力が必要で、その演技を支えるのが自らをさらけ出す覚悟だ。怒り、泣き、わめき……そんな目が離せないシーンの連続に、私たちの想像を超えた『3年A組』があるのだろう。

乙女心と食欲、怪力を共存させる魚住華役の富田望生や、時折真剣なまなざしでその場の空気を引き締める宇佐美果帆役の川栄李奈ら、フレッシュな演技や直球の演技は見ていて気持ちがいい。元水泳部の水越涼音を演じた福原遥の魂の震えは柊のメッセージを一層際立たせた。

『アンナチュラル』で命がけのゲームを仕掛けた高校生役が記憶に新しい望月歩や、『クライシス』で自らの信念で事件を企てる少年を演じた今井悠貴たちも、まだまだ見せてくれるだろう。

なかなかたどり着かない黒幕の存在と、生徒たちが成長していく力強さ、劇場型の展開に織り込まれる異質なシーン、ミステリアスな部分と学園ドラマならではの心理描写をうまくミックスさせているのが『3年A組』。29人の感性が不協和したり調和したりしながら、熱量を加速させ、最終回を迎えることになりそうだ。