結婚して子どももできて落ち着いた家庭生活を送っている。その一方で、女性たちの話題にのぼるのが「セックスレス」問題。お互いにレスで不満がないならいいのだが、妻側が一方的に我慢していることも多々あるようだ。
夫はいつも「疲れている」ばかり
「下の子が生まれてから、夫が誘ってこなくなったんです。誘うのはいつも私。で、10回誘って1回応じてもらえるかどうか。でもめげずに誘っていたら、先日、『それしか考えられないわけ?』と冷たい拒否。夫への気持ちが萎えました」
悔しそうにそう言うのは、マリさん(40歳)。結婚して10年、8歳と6歳の子がいる。同い年の夫とは決して仲が悪いわけではなかった。ただ、下の子が生まれてから、セックスのことだけは解決できず、ずっとモヤモヤしてきたという。
「この年になって私のほうがちょっと性欲が増してきたこともありますね。ときどきどうしても我慢できなくなって、夫に迫ることがあるんです。そうすると夫は『疲れてるんだよ』『寝ようよ』って。それなのに寝ているともぞもぞと私の体に触れてくることがあるんですよ。その気があるのかなと期待が高まるんだけど、彼は寝ぼけて触っているだけ」
性欲が高じると、女性だって気持ちがイライラしてくるものだ。それなのに夫が投げつけた「それしか考えられないわけ?」という言葉は、女性の心身をあまりに無視している。
「なんだかせつなくて。高校時代からの親友で離婚経験者にその話をしたら、『うちもそう。私、夫に拒否されてつい泣いたことがあるのよ。そうしたら夫が、泣けばいいと思うなよって。そこからだなあ、離婚を考え始めたのは』って。わかるなあと思いました」
セックスレスが離婚の原因というよりは、そこにまつわる夫の態度や発言から、女性たちは夫の冷たさを感じ取るのだ。
夫は無言になるかキレるかどちらか
妻に迫られるということは、妻から男として見られている証拠。妻に拒否される男たちからみると「羨ましい」と思うものらしい。だが、実際に長年連れ添っている夫に拒否され、泣けばドン引きされ、文句を言えば大声で一喝されるような状態に陥っている妻たちは、もっと深刻である。
「うちの夫は,私がそれとなく誘うと無言で部屋を出ていってしまう。リビングのソファで寝ていたこともありました。そんなに私のことがいやなのかと思うと、結婚していることがみじめにさえなってくる」
ミホさん(44歳)は暗い表情になった。結婚して16年、中学生の双子の娘がいる。夫はもともと寡黙なタイプだが、娘たちには非常に甘い。
「子どもたちの前ではごく普通ですが、寝室で話が弾むようなことはありません。最近は、私のほうが寝室へ行く時間をずらしています。夫が寝込むまでリビングにいる。寂しいですね。だからといって外で恋愛するような勇気はもてないし」
子どもたちが中学生になったのを機に、週に4回ほどパートに出るようになった。パート先では婚外恋愛している女性から話を聞いたこともあるという。
「楽しそうでしたけど、私にはそんなことはできないとも思った。このまま更年期を迎えるのかなと思うと、本当につらいけど」
何か糸口を見つけたい。ミホさんは真剣にそう言った。結婚記念日にふたりきりで出かけてみるなど、少しドラマティックなことをするとか、日常的に手を握ったり触れあったりするとか、関係を再構築していく必要があるのかもしれない。