あらぬ噂に巻き込まれた妻を信用しない夫
ママ友とはムダな諍いを避けたいもの。ただ、八つ当たりで夫にあらぬ告げ口をされ、困り果てている女性もいるようだ。そして実は、そのときの夫の態度こそが問題なのである。
ヨガのコーチと親しいと夫に吹き込まれ
「頭に来たのですが、正面切ってケンカするのもバカバカしいから無視しています。ただ、いっときでも夫が私を疑ったことにはずっとイライラし続けています」
怒り心頭という様子でそう言うのは、ユキノさん(45歳)。結婚して16年、中学生の息子と小学生の娘がいる。夫は週末休み、ユキノさんは平日休みという状態のなか、共働きでずっとがんばってきた。
「娘が小学校中学年になったので、平日休みに私はスポーツジムへ行くようになりました。ストレス解消と体力増強の目的で。泳いだりヨガをやったり。そもそもジムに誘ったのは近所のママ友であるA子だったんです」
「ヨガのコーチがイケメンなのよ」とA子さんはご執心だったが、ユキノさんはそのコーチの教え方が気に入って続けていた。
「そうしたらあるとき夫が、不機嫌そうな顔で『おまえはヨガのコーチが目当てで、ジムに通っているのか』と言い出した。何の話かと思ったら、帰宅途中でA子に会って、『おたくの奥さん、ヨガのコーチがお気に入りだから』と意味深に吹き込まれたらしいんですよ。そんなのまともに受けるほうがおかしいと私は一蹴しました。すると夫は『子どももいるんだから、ヘンな噂をたてられるなよ』って。ほんっとに頭に来ました」
ユキノさんは翌日、A子さん宅を訪れて文句を言った。すると彼女はしれっと、「あら、冗談だったのに。お宅のだんなさん、冗談も通じないの?」と返してきた。
夫に浮気された腹いせだった
ジムに行くのをやめようかとも思ったが、やめるとさらに妙な噂をたてられそうだから、あえてジムはやめなかったとユキノさんは言う。ただ、A子さんとはそれきり道で会っても知らん顔を貫き通した。
「あるときヨガの教室に入ると、なんだか雰囲気がヘンなんですよね。A子が私を見て口を歪めて笑ってた。コーチに対しても失礼。だからA子のそばに行って『いいかげんにして、くだらない噂を広めるのはやめて』と言ったんです。A子はそのまま教室を出て行きました」
その後、共通の知り合いがユキノさんのところへ来て、「あの家、だんなが浮気していて、今、大変みたいよ」と耳打ちしてきた。ひとり息子は一流高校に入り、夫は一流企業に勤め、専業主婦として幸せそうに見えたA子さんだが、実はそんな悩みを抱えていたらしい。
「だからといって、うちをターゲットにしてあらぬ噂を広めようとするのは筋違い。なぜ私を標的にしたのかわかりませんが、共働きで忙しいから怒っているヒマもないと思われたのかしら」
帰宅後、夫にその話をした。夫はそれでも、「噂を広めたくなるような行動をおまえがとっていたんじゃないのか」と言う。
「最初はA子に怒っていたけど、今は夫に怒っています。生きていればあらぬ噂に巻き込まれることだってあるんじゃないの、あなたは全然、私の気持ちをわかろうとしない、と思い切り夫に言い返しました。おかげで今、うちは冷戦状態。どうしてこんなことになるのか……」
ひょんなことから、夫が自分を信用していないことがわかってしまった。それがいちばんユキノさんにとってショックだったに違いない。