時間があると夫婦は互いのアラをどうしても見てしまうのかもしれない。家でのんびりしている夫に対し、妻は厳しい目を光らせていることも多い。
中学受験の子どもの気持ちをわかっていない
今年、私立の中学を受験する子をもっているメグミさん(43歳)。もちろんこの年末年始も子どもは塾でがんばり続けていた。メグミさん自身も、毎日ピリピリしている状態。だが、夫は休みに入ってから、毎日が日曜日だと思って過ごしているようだった。
「ひとり息子の人生の一大事なんだから、塾への送り迎えをするとか、少しは勉強を見てやるとかしてくれればいいのにと言ったんです。そうしたら『オレはいまだに私立なんか受験する必要はないと思ってる』と。前にも話し合って、結局、受験させると決めてそれから何年もがんばってきたのに。父親の役割も大事だということをまったくわかってない。それでついつい夜中に口げんかになって、息子にも聞かれてしまったみたいで」
後悔するメグミさんに対して、「そこまでピリピリすることはないだろう」と夫。それでますますメグミさんの気持ちが乱高下するという異常事態になったそうだ。
「エスカレーター式のいい私立に入れば、あとがラクじゃないですか。夫は地方で地元の公立中学や高校に通っていたから、東京の受験事情をいまだにわかってないんですよ」
子どもの受験に関する価値観の違いは、どこまでいってもすれ違うものなのかもしれない。そしてそれによって、夫婦の溝も深まっていく怖れもある。
「けじめ」を嫌う夫
お互いに再婚同士で、初めての年末年始を迎えたトモコさん(40歳)。どちらにも子どもはいないので、ふたりで初めてのお正月を迎えることを楽しみにしていた。
「私は季節の行事などをきちんとやりたいタイプ。特にお正月は別格ですから、マンション住まいだけど小さなお飾りをドアにはって、鏡餅も用意したんです。もちろん、おせちもきちんと作るつもりでした。そうしたら夫は、『オレ、おせちって嫌いなんだよね』と。黒豆もきんとんもなますも嫌いだって。私は腕をふるうつもりでいたのに。夫は『せっかくふたりだけなんだから、映画館や美術館に行って食事も外ですませてきちゃえばいいよ。元旦は寝正月で』って。まあ、それもアリなんですけど、私はお正月は特別な雰囲気で過ごしたかった。でもそのがっかりした気持ちをまったくわかってくれないんですよね」
なんとなく不機嫌になっていたトモコさんに、夫はベタベタしてきた。そうすることで機嫌が直るだろうと安直に思っているところもカチンときた。
「思わず、やめてよと言いました。男ってどうしてこういうときにベタベタすれば女は喜ぶと思ってるのって。すると夫も『きみにとって、男は誰でも一緒なのか。前のダンナもそうだったのか』と言い返してきて。お互いに離婚しているから、前の配偶者のことをとやかく言うのはやめようって言ったのに。この人と本当に一緒になってよかったのかどうか、考え込んでしまっています」
双方が半歩ずつ譲ってもいいような状況なのだが、そこで譲れないことが問題なのかもしれない。再婚同士だからこそ諍いにならない知恵を出し合えればいいのだが。