男性も「生理的にイヤ」になることがある!?
「もうダメ、彼のことを生理的に受けつけなくなったの」というのは、女性が男性と別れるときの最後の切り札だった。だが最近は、男性からもそんな話を聞くことが増えた。
男は理屈で決断する……とは限らなくなった!?
「生理的にイヤになった」はかつて女性の専売特許だった。そう言われると男性は為す術がない。「どうして理屈でわかるように言ってくれないのか」と男たちは嘆いていたものだ。
ところが先日、「最近、離婚したばかり」という男性に会った。その理由を聞くと、「うーん、特に大きなケンカがあったわけではないんですが、なんとなく生理的に受けつけなくなって」という答え。これは女性のセリフではなかったのか、と驚いた。その後も、別の男性から同じような話を聞き、今は男性たちもこの言葉を使うのかと思い至っている。
3ヶ月前から家を出て別居しているシンゴさん(42歳)はこう言う。
「意見や価値観が違うのは当然だと思うんですよ。だけど妻はその溝を埋めようと努力してくれなかった。こちらの意見も認めてくれなかった。そういう妻を見ていると、このまま一緒に生活していく気力が失せたんです。家庭は彼女が好きにやってくれればいいとしばらくは放置していたんですが、そのうち、妻の顔を見ると具合が悪くなるようになって。もう生理的に無理だという結論に至りました」
妻は離婚に応じてくれない
結婚して12年、11歳のひとり娘もいるシンゴさんだが、疲れ果てて家を出た。娘とはときどき連絡をとっている。
「僕は離婚を見据えた別居だと考えていますが、妻は離婚する気はない、と。ただ、妻の顔を見なくなってから心身の不調はかなりおさまりました。本当は娘を引き取って離婚したいのですが、それは妻が許さないでしょうね。本当は話し合えればいいのですが、妻は自分の主張が通らないとだんまりを決め込んでしまう。今、どうしたらいいかわからないのが正直なところです」
娘には会いたいが、妻は会わせてくれない。今は携帯電話で娘と連絡がとれているが、妻は娘に自分の悪口を吹き込んでいるようだから、いずれ娘も感化される可能性が高い。シンゴさんは危機感を募らせる。
「それでももう妻とはやっていけないという気持ちが強いですね。彼女が悪いというわけではなく、相性がよくなかったんでしょう」
決定的なケンカや大きなできごとがあったわけではなくても、「この人から離れたい」という気持ちが生まれるのは、男女問わずあり得ることなのだ。今まで男性は、「そういう理不尽なことを言ってはいけないもの」と思い込んできたのかもしれない。
「たいした理由もなく、男が家庭を捨てるのは無責任だという常識がありますからね。僕自身も、そのあたりではつらい思いをしています」
男はこういうもの、という"常識"に男たちも苦しめられているのかもしれない。