2年ぶり2度目となるクラブ世界一への挑戦
12月12日に開幕するクラブW杯に、Jリーグの鹿島アントラーズが出場する。2年ぶり2度目となるクラブ世界一への挑戦には、前回とは異なる意味と価値がある。
2016年のクラブW杯で、鹿島はJリーグ勢初の決勝進出を果たし、準優勝を成し遂げた。ただ、この大会は日本で開催されており、鹿島は同年のJリーグ優勝クラブとして開催国枠で出場した。
開催国枠に価値がないわけではない。しかし、「今度はアジア王者としてこの舞台へ戻る」との決意を、選手たちが固めたのは間違いない。
アジアの王者としてクラブW杯に臨む意義
アジアからクラブW杯へ出場するには、ACLと呼ばれるAFC(アジアサッカー連盟)チャンピオンズリーグで優勝する必要がある。Jリーグで最多のタイトル獲得を誇る鹿島は、同大会に何度も出場してきた。
ところが、ACLではベスト8が最高成績だった。日本国内で並外れた勝負強さを発揮する鹿島が、ACLだけはつかむことができない。
ついに頂点を極めたのが、2018年だった。
ホーム&アウェイで争う決勝トーナメントは圧巻だった。トーナメント1回戦で上海上港(中国)を2試合合計4対3で退け、準々決勝では天津権健(中国)に5対0で圧勝する。
水原三星(韓国)との準決勝は、ホームの第1戦を3対2で制するが、アウェイの第2戦で後半途中まで1対3とリードされる。トータルスコアで4対5と逆転されるが、そこから2点を奪い、合計6対5で水原三星を振り切った。
決勝戦の相手は、イランのペルセポリスだった。ホームの第1戦を2対0で勝利した鹿島は、10万人の大観衆で埋まるアウェイゲームを0対0でしのぐ。完全敵地のスタジアムで、アジア制覇の雄叫びをあげたのだった。
世界に『KASHIMA』の名を轟かせられるか?
クラブW杯におけるJリーグ勢は、07年の浦和レッズ、08年のガンバ大阪、15年のサンフレッチェ広島が、3位入賞を果たしている。鹿島も16年に準優勝したが、それらはすべて日本開催の大会である。
日本以外の国で行われるクラブW杯に、アジア王者として出場したのは、昨年の浦和が初めてだった。その浦和は、開催国UAEのクラブに初戦で敗れ、5位に終わった。
昨年に続いてUAEで開催される今年のクラブW杯に、鹿島はアジア王者として乗り込む。Jリーグ勢初となる「日本開催ではないクラブW杯での上位進出」を目標に掲げる。
「上位進出」の表現では、控え目かもしれない。
クラブの歴史を作ってきた元ブラジル代表にして元日本代表監督のジーコが、テクニカルディレクターとしてフロントに復帰している。クラブが伝統とする勝者のメンタリティに、改めて太い芯が通っている。
今シーズンはACLだけでなくリーグカップ、天皇杯でも上位進出を果たし、国内の他クラブを上回る試合を消化してきた。ベストコンディションを保っている選手を見つけるのは難しい。何人かの主力選手は、クラブW杯を欠場することになりそうだ。
それでも、鹿島にははっきりとしたモチベーションがある。グアダラハラ(メキシコ)との1戦(準々決勝)に勝てば、レアル・マドリード(スペイン)が待ち受ける。2年前の決勝戦で敗れた“白い巨人”と再戦し、今度こそ勝利をつかむ──『KASHIMA』の名を世界へ轟かせるための戦いが、もうすぐ幕を開ける。
FIFAクラブワールドカップUAE2018
大会期間:2018年12月12日(水)~12月22日(土)
※鹿島アントラーズの初戦は15日の準々決勝(対グアダラハラ(メキシコ))
開催地:UAE