実家依存……夫より父親がいい!?

結婚したら「ひとつの家庭」を夫とともに作り出していくもの。もちろん協力者は多いほうがいいから、子どもができれば実家の親に頼る夫婦も少なくはない。

だが、それも度がすぎると、夫婦の間に支障が出ることもある。
 

実家の居心地がよすぎて

最初の子を産んだときは4ヶ月、下の子のときは半年も実家に帰ったきりだったというのはサトコさん(43歳)だ。同い年の男性と結婚して13年、12歳と10歳の子がいる。

実家は自宅から1時間半ほどの距離だ。

「最初の子のときは退院して1ヶ月ほどで自宅に戻ろうと思ったんですよ。そうしたら、両親がもう少しいたらいいじゃないかと言ってくれて。夫も賛成してくれました。それでずるずると4ヶ月」

笑いながら言うサトミさんだが、さすがに2ヶ月を超えると夫からは早く帰ってきてコールが鳴り響いた。

「でも実家の居心地って最高なんですよね。ひとりっ子だから、独身時代は干渉ばかりしてうるさいなと思った親たちも、孫ができたら態度が違うし(笑)。私は赤ちゃんのめんどうだけ見ていればいい。それも大変になったら母親がやってくれる。両親も娘と孫がいるとうれしそうだったので、つい長居しました」

4ヶ月たってやっと自宅に戻ったが、あれほど自分もきちんと家事育児をやると約束した夫の帰宅は毎晩遅かった。

「乳飲み子とふたりきりの生活って本当につらい。近所に子どもを遊ばせられる児童館があったので行ってみたんですが、周りのおかあさんに馴染めなくて。早く再就職をしようとしたら保育園がいっぱい。なんだか突然、社会から取り残されたような気がしました」

そんなときは母親がやってきて数日間、泊まってくれた。彼女は親にお金をもらって美容院などに出かけていたという。

夫は苦い顔はしたが、文句は言わなかった。

 

夫との心の距離が離れて

子どもが1歳半くらいになり、そろそろ本格的に仕事を探そうと思っているころ妊娠していることがわかった。

「夫が、『オレたち、生活を立て直そう。ちゃんとふたりで家庭を築いていかなくちゃ』と言い出したんです。そうだねとは言ったけど、実際、毎晩帰りが遅かったらワンオペにならざるを得ない。夫が産休や育休をとったら生活できなくなる。ただでさえ、私は実家からずっと自分のお小遣いをもらっている状況で、それも家計費につぎ込むことが多々あった。心の中では、満足な生活もさせられないくせにと夫に毒づいていました」

その結果が、第二子出産後の半年にわたる実家滞在だ。それでも夫はなんとか関係を修復しようとした。

「離婚となると大変だから帰りなさいと言われて、ようやく自宅へ帰りました。それからも私は夫婦のことを両親に相談し、経済的にも援助を受けています。夫は知っているはずなのに、そのあたりには触れない。彼には彼のプライドがあるんでしょうね」

表面的には「家庭」という形を保っている。週末には家族で出かけることもある。夫は子どもたちを大切にしているとわかっていながら、やはり彼女が精神的に頼るのは父と母だ。

「私は別にファザコンではないんですが、夫と父を比べると頼りがいが違います。父は長年、会社を経営しているだけあって判断が的確。比べちゃいけないとわかっていても、ついつい比べてしまうんですよね」

両親も70代に入った。まだ元気でも、順番でいけばいつか両親はこの世を旅立っていく。そのとき、彼女はどうするのだろうか。どうなるのだろうか。そのことについては考えたくない、と彼女は拒絶感を示していた。