ベネズエラ戦の引き分けは妥当
11月16日のベネズエラ戦は、1対1のドローに終わった。森保一(もりやす はじめ)監督就任後の3試合で4ゴールを記録している南野拓実、所属クラブで好調な堂安律と中島翔哉の“三銃士”が無得点に終わったことで、メディアのトーンはやや下がった印象だ。
しかし、ベネズエラは国際サッカー連盟(FIFA/フィファ)のランキングで、日本の50位をはるかに上回る29位につけている。強豪ひしめく南米でなければ、ランキング対象試合でもっとポイントを稼ぎ、上位に顔を出す実力を備えている。日本国内でのホームゲームとはいえ、1対1のドローは妥当だった。
ロシアW杯でも中心を担った大迫勇也に“三銃士”を加えた攻撃のカルテットは、日本代表の新たなシンボルとして脚光を浴びているが、チームはまだ立ち上がったばかりだ。一緒にプレーすることで連携を深めていく段階であり、彼らが得点やアシストを決めることができなくても、ことさらに騒ぎ立てる必要はないだろう。
むしろ重要なのは守備だ。アジアカップのような大会では、ディフェンスの安定こそがチームの支えとなる。
GKと左サイドバックの人選がポイントに
森保監督のチームでは、ロシアW杯に出場した吉田麻也がセンターバックで、酒井宏樹が右サイドバックで、引き続きチームを支えている。吉田のパートナーのセンターバックでは、20歳になったばかりの冨安健洋が台頭してきた。
ベルギー1部のシントトロイデンで定位置をつかんでいる彼は、ベネズエラ戦で自身2試合目の出場を果たした。アジアの戦いでは、相手のロングボールを跳ね返す高さを問われる場面が少なくない。188センチの高さを持つ冨安は、その意味でも適任だ。攻撃の起点となる球出しにも期待が持てる。
森保監督が頭を悩ませているのは、GKと左サイドバックだろう。
ロシアW杯までレギュラーだった川島永嗣の後継となるGKは、ガンバ大阪の東口順昭、サガン鳥栖の権田修一、ベガルタ仙台のシュミット・ダニエルのいずれかになる。ベネズエラ戦では197センチの長身を誇るダンことシュミット・ダニエルが日本代表デビューを飾ったが、20日のキルギス戦で起用される選手がアジアカップのレギュラーGKになるはずだ。
左サイドバックはロシアW杯メンバーの長友佑都の戦線離脱により、佐々木翔が定位置獲得に近づいている。今回の2試合には横浜F・マリノスの山中亮輔が初めて招集されているが、サンフレッチェ広島でも森保監督のサッカーに触れてきた佐々木が、定位置争いをリードする。ベネズエラ戦でもこの29歳がスタメンに指名されたが、キルギス戦はどうなるか。
アジアカップに初出場するキルギスは、日本からすれば格下の相手だ。守備を固めてくるチームから確実に得点を奪い、無失点で終えることがこの試合のテーマになる。