なんだかがっかり? 「夫」を「主人」という女性

仕事をもって自立している女性が、「主人に相談してみないと」という言葉を発すると、とたんにがっかりした気分になることがある。既婚女性が夫を対外的にどう言うか。昔から使われている「主人」という言葉を嫌がる人が増えている現状がある。

夫のことをどう呼んでいる?

仕事をもって自立している女性が、「主人に相談してみないと」という言葉を発すると、とたんにがっかりした気分になることがある。

「私もそう思います」と賛同してくれるのは、シホさん(40歳)だ。彼女自身、8歳の子を抱えながらフルタイムで働く女性。

「職場にもけっこう多いですよ。『主人が』って言う人。それまで職場での男女平等について意見を交わしていても、その言葉が出たとたん、ああ、この人とはわかり合えないと思ってしまいます。私自身は夫、もしくはパートナーといっていますが」

既婚女性が夫を対外的にどう言うか。昔から使われている「主人」という言葉を嫌がる人が増えている現状がある。

広辞苑によれば、主人とは「一家のあるじ」「自分の仕えている人」などの意味がある。3番目に「妻が夫を指していう称」ともあるが、もとはやはり「自分が仕えている人」の意味合いが強い。だからこそ、日頃、男女は対等であるべきと思っている人たちにとって、「うちの主人が」という女性は首を傾げたくなる存在なのだろう。
 

そこまでの意味はなく、ただの習慣で

シホさんは、同僚がなぜそう言うのかを尋ねてみたそうだ。

「別に理由はないと言っていましたね。彼女の母親もそう言っていたし、世間ではそういう表現が多いからいつの間にか使うようになった、と。自分が夫に仕えている意識もないし、夫が一家の主であると考えているわけでもないって。だったら『主人』なんて言わなければいいのに。私自身は、家父長制の匂いがぷんぷんするから嫌いなんですよ、夫を主人と呼ぶのが」

個人的にはシホさんに同意するが、習慣的に何も考えずに使っている人が多いのもわからなくはない。ただ、やはり時代や自分の意志に合わせて、呼び方を変えていく必要はあると思う。配偶者を「主人」と呼ぶのは、長年にわたる「女は男より下」という意識が蔓延しているからでもあるはずで、その言葉を使い続けることで、そういった女性蔑視につながる考え方を継承してしまう可能性があるからだ。

結婚にもさまざまな形が出始めている。今後、事実婚などが増えていくと、夫や妻という言葉も使い方がむずかしくなりそうだ。

「自分の配偶者のことは夫、と言いますけど他人の配偶者のことは言いづらいですよね。夫さまというわけにもいかないし。どうしても『ご主人様』と言いがち。私は他人に聞くときは、『お連れ合いは』とか『パートナーの方は』という言い方をします。とにかく自分からは『主人』という言葉を使わないようにしてる。ささやかな世間への抵抗かもしれませんが」

言葉を換えれば意識も変わる可能性がある。「主人」という言葉にモヤモヤしている人たちには、まずは使う言葉を変えていこうとぜひオススメしたい。

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