9月11日に行なわれたコスタリカとのテストマッチで、森保一監督が率いる新生日本代表は3対0の勝利を飾った。この試合には、先のロシアW杯の主力選手が出場していない。指揮官の狙いを解き明かす。
魅力あふれる2列目
ロシアW杯でベスト8に迫ったチームの主力は、9月11日のコスタリカ選手にはひとりも招集されなかった。平均年齢が28歳を越えていた当時のチームのままで、4年後のカタールW杯を目ざすのは難しいからだ。
果たして、森保監督は野心溢れるメンバーをコスタリカ戦に送り込んだ。チームの平均年齢は25歳強まで下がった。
とりわけ注目を集めたのは、4-2-3-1システムの「3」だっただろう。
2列目と呼ばれるポジションには、右から堂安律(フローニンゲン/オランダ、背番号21)、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア、背番号8)、中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル、背番号10)の3人が並んだ。23歳の南野と24歳の中島は16年のリオ五輪で得点をあげており、堂安は昨年のU-20W杯で3得点をマークした。3人とも所属クラブで結果を残しており、ロシアW杯のメンバー入りを望む声も上がった選手である。
最終ラインでは、国際Aマッチ出場3試合目の三浦弦太(23歳、ガンバ大阪、背番号19)がセンターバックで、同2試合目の室屋成(24歳、FC東京、背番号3)が右サイドバックで先発した。攻守をつなぐボランチで出場した遠藤航(25歳、シントトロイデン/ベルギー、背番号6)も、ロシアW杯のメンバーだが出場はなかった。
こうした選手たちが、躍動感溢れるプレーを見せた。中島は2得点に絡み、南野はチームの2得点目をゲットした。堂安は得意のドリブルで相手守備陣に脅威を与え、遠藤は中盤でボールを回収しながら相手ゴール前へ飛び出していった。南野が決めた得点は、彼のアシストから生まれている。室屋はタッチライン際を何度もアップダウンしてチャンスを作り、三浦は無失点に貢献している。
北海道を襲った大地震の影響で、7日に予定されていたチリ戦が中止となった。その後も練習に一部支障が及んだ。そもそもチームの立ち上げのタイミングで、手探りな部分が多い。そう考えると、出場メンバーのほぼ全員に及第点がつく。
本格的な競争はこれから!
ならば、コスタリカ戦のメンバーはこの先も日本代表に定着していくのか。
そうではないのだ。代表引退を表明した長谷部誠、カンボジア代表の実質的監督となった本田圭佑を除くW杯メンバーは、次の活動となる10月から随時招集されていく公算が高い。
自分たちが追いかける立場ということは、中島や南野らも理解している。だから、彼らは結果を求めたのだ。
いずれにせよ、森保監督は豊富な選択肢を持つことができている。50歳の指揮官はこれから誰を選び、誰がポジションをつかんでいくのか。
毎週末のJリーグで、森保監督がどのチームを視察するのかに注目するのもいい。そこから、彼の構想が垣間見えてくるはずだ。