いまやドイツに次ぐ日本人選手の移籍先に

ベルギー3選手
左から、植田直通(写真:AFP/アフロ)、冨安健洋(写真:田村翔/アフロスポーツ)、遠藤航(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

ベルギー1部リーグでプレーする日本人選手は、8月22日現在で7人を数える。この夏にはロシアW杯の日本代表メンバーだった遠藤航と植田直通、昨シーズンまでドイツ2部のインゴルシュタットに在籍した関根貴大が移籍した。また、21日には流通経済大4年の小池裕太が、卒業を待たずにシント=トロイデンと契約を結び、ベルギーへ旅立った。
 

◆ベルギー1部所属の日本人選手7人(8月22日現在)

クラブ名 選手名
シント=トロイデン 遠藤 航
シント=トロイデン 冨安 健洋
シント=トロイデン 関根 貴大
シント=トロイデン 小池 裕太
オイペン 豊川 雄太
セルクル・ブルージュ  植田 直通 
アンデルレヒト 森岡 亮太


 

ヨーロッパ各国リーグのなかでも、ベルギーはいまやドイツに次ぐ日本人選手の移籍先となっている。
 

その理由は主に3つある。
 

「将来性のある選手」を必要としているリーグ

ベルギー国内の有力選手は、ほぼ漏れなく国外でプレーしている。たとえば、同国代表の主将エデン・アザールは、14歳でフランスのクラブへ引き抜かれた。一定水準のレベルを維持するために、各クラブは外国人選手をつねに必要としている。
 

だからといって、世界的なスターを獲得できるほどの資金力を持ったクラブは、ベルギーには存在しない。将来性のある選手を比較的安い値段で獲得し、イングランド、スペイン、ドイツ、イタリアなどのクラブへ売ることで、この国のクラブは財政基盤を安定させている。これが、ひとつ目の理由だ。
 

久保
 久保 裕也(写真:AFP/アフロ)

ベルギーで17年1月からプレーしてきた久保裕也は、スイスリーグでの活躍を認められてヘントというクラブに加入し、今シーズンからドイツのニュルンベルクへ期限付き移籍した。ベルギーにおける選手の動き方として、非常に分かりやすいケースと言えるだろう。
 

ベルギー1部リーグには「外国人枠」がない

2つ目の理由は、外国人枠である。
 

日本人選手がヨーロッパのクラブへ移籍する場合、当然ながら外国人として扱われる。ブラジルやアルゼンチンの選手と、限られた外国人枠を争わなければならない。
 

ベルギー1部リーグには、外国人枠がない。ベルギー国内で育成された選手を、公式戦に少なくとも6人登録しなければならない、というルールがあるだけだ。外国人選手の保有人数に制限がないのである。
 

「DMM」が経営権を持つクラブと選手の思惑が一致

3つ目は日本企業の進出である。
 

1部の中堅クラブ『シント=トロイデン』の経営権を持つのは、日本のDMMグループだ。
 

オンラインゲームや動画配信、金融サービスなどを幅広く手掛ける同社は、今年1月に冨安健洋をJ2アビスパ福岡から獲得し、今年7月には浦和レッズから遠藤を、ほぼ同じタイミングでドイツ2部のインゴルシュタットから関根を期限付き移籍で獲得した。さらに流通経済大の小池を加え、日本人選手を4人抱えることになった。
 

冨安は19歳、遠藤は25歳、関根は23歳、小池は21歳だ。今後の成長次第でベルギー国内の強豪はもちろん、欧州各国リーグのクラブへの移籍が見込める年齢である。シント=トロイデンは日本人選手に欧州進出の扉を開き、日本人選手は同クラブを足掛かりにステップアップを果たす──両者の思惑は一致しているのだ。
 

ヨーロッパにおける日本人選手の評価が上がっている

ベルギー1部リーグで日本人選手が注目される理由として、ヨーロッパにおける日本人選手の評価が総体的に上がっていることも見逃せないだろう。隣国のドイツを中心に実績を積み上げてきた先達の足跡は、ヨーロッパで広く認められていると言える。もちろん、先のW杯での日本代表の躍進もプラス材料だ。
 

冨安や遠藤はポジションをつかみつつあり、鹿島アントラーズからセルクル・ブルージュへ移籍した植田も、徐々に出場機会を増やしている。加入2シーズン目の豊川雄太(オイペン)も、確実にゲームに絡んでいる。彼らのプレーぶりによって、ベルギーと日本の人的交流がさらに盛んになっていくかもしれない。