こんなはずじゃなかった「リボ払い」…
友人や同僚の結婚式に出る機会が増えてきたAさん。軽い気持ちでリボルビング払い(リボ払い)で買い物をしたところ、いつの間にか返済額が借りた額の2.5倍に膨れ上がる計算に。こうなった最大の理由は、彼女が利用したリボ払いの仕組みにありました。
急な出費に対応できる?リボルビング払い
Aさんは大手広告代理店に勤めるOL。華やかなイメージのある業界ですが、Aさんはおっとりとした性格で、失礼ながらちょっと地味といってもいい雰囲気のある方です。とはいえ、働き方はまじめそのもの。落ち着いた仕事ぶりは社内でも評価されているようです。
そんなAさんも27歳。「30歳の壁」が見えはじめたこの時期、友人や同僚の結婚報告が届くようになったといいます。そうしたことに疎かったAさんは、結婚式に参列するためのドレスを買うことにしたのです。
都内の百貨店をいくつもめぐってやっとみつけたパーティードレスは、刺しゅうとレースを合わせた濃紺のワンピース。大人の女性の雰囲気のなかにさりげないかわいらしさがあって、見た瞬間に「これだ」と思ったそうです。
さらに、店員の勧めに乗って、ドレスにぴったりのバッグやシューズ、アクセサリーにいたるまで一式購入することにしました。結局、気がついたら会計は総額10万円近くに……。
「ご祝儀や美容院などの出費もあるし、ちょっと買いすぎかな」そんなAさんの不安を察してか、店員は声をかけたのです。
「リボルビング払いを利用されてはいかがでしょうか」
ラクな返済に味を占めて35万円
「リボルビング払い? そういえば、クレジットカードのCMでリボ払いって聞いたことあるな」
名前こそ知っていたものの、それが何なのかよくわかっていなかったAさん。しかし、久々の高額の買い物に舞い上がっていたことと、説明慣れした店員の「毎月の支払いが一定額にできる、とっても便利なシステムなんですよ」という話にひかれ、深くは考えずに契約してしまったのです。
驚くほど簡単に手続きが済んで、初めての返済日。Aさんは最低返済金額の5000円を返済しました。
「ほんとだ! これなら返済も楽だわ!」
友人の結婚式で「すごくきれいになったね」と褒められたAさん。これですっかり気をよくしてしまい、自分磨きに目覚めてしまいます。まだ結婚式に呼ばれるからと、2次会用のドレスやアクセサリーを買ったり、美容院に通ったりして、気が付いたら合計35万円使っていました。
返済総額が借りた金額の2.5倍に!
1年後。
毎月きちんと5000円を返し続けてきたAさんですが、ふとあと何回くらい返さなくてはいけないのかが気になり、明細をよく見てみました。
「えっ、あと13年近くも返し続けなきゃいけないの……?」
Aさんのリボ払いの契約は「定額方式」と呼ばれるもの。複数回利用して残高が増えても毎月の支払額は一定ですが、その分支払期間が長くなるうえ、支払期間中はずっと金利手数料がかかります。Aさんのリボ払いの金利は年15%でした。
35万円、年利15%のローンを毎月5000円ずつ返すと、支払期間は約14年、返済総額は約84万円にもなります。借りた金額の2.5倍も返さなければならないという現実にAさんは驚き、我に返りました。
「どれだけ使っても、月々の支払いは5000円だけでしたから、借金で買い物をしているという感覚がマヒしていました。それに、実はリボ払いだとクレジットカードのポイントがいつでも3倍つくのでお得だと思っていたんです。でも、考えてみればポイントより金利のほうがずっと高かったですよね」
「繰り上げ返済で完済」したが……リボ払いは使わない!
これだけの金額に膨れ上がるのは、金利の負担が非常に大きいからです。そして、金利の負担が大きくなるのは、元本が多いからにほかなりません。
Aさんは、余裕のある月は2万円、なくても1万円という具合に繰り上げ返済を行い、約4年かけて完済しました。支払総額は約46万円。利息だけで11万円も払った計算になります。
一見、支払額が少なくて済むリボ払いは、毎月まとまったお金を用意する必要がないため魅力的に見えます。しかし、Aさんのように適当に使ってしまうと、延々と借金を背負い続けることになりかねません。
Aさんの場合、取り返しがつかなくなる前に気づけたからまだよかったのです。金利負担の大きいリボ払いは、基本的には使うべきではありません。
もし、どうしても使わなければならないという事態があったとしても、残高や金利、残りの支払い回数などを必ず確認し、なるべく早く完済するようにしましょう。