“可愛いおじさん”から一変!夏は“熱く闘うおじさん”ドラマに注目

『おっさんずラブ』『バイプレイヤーズ』……春は“可愛いおじさん”たちが楽しませてくれました。引き続きおじさんたちが主演の夏ドラマも気になるところ。一変して正義のため、企業のため、全力で“闘うおじさん”たちのドラマからも目が離せません。

『おっさんずラブ』『バイプレイヤーズ』『緊急取調室』……。おじさん世代を描いたドラマは、いつも私たちを楽しませてくれます。もちろんこの夏も、その勢いは衰えません。今クールのおじさんたちに共通するのは”闘うこと”。応援しながら、そして自分自身も勇気づけられながら、ぜひ楽しんでください。
 

企業再生に“熱く”奔走する
ラストチャンス 再生請負人』(テレビ東京系/月曜22時)

骨太な経済ドラマ『ラストチャンス』/出典:Amazon

いつの時代も取り上げられる「企業再生」がテーマの江上剛原作の作品を、テレビ東京がドラマ化。おもしろくないわけがありません。実力派俳優そろい踏みで骨太に描かれています。
 

仲村トオル、椎名桔平、勝村政信、本田博太郎らに、池田成志や岩松了など渋い個性派も加わり、力強い演技で見応え十分。企業の不条理、プライドのぶつかり合い、一筋縄ではいかない企業再生の現場で奮起する姿に感動します。ランチ、居酒屋、家族の会話、垣間見えるおじさん世代の日常にもほっこり。
 

理不尽な悪に“熱く”挑む
『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系/月曜21時)

犯罪を未然に防ぐために組織されたチームの活躍を描く物語。潜入捜査での変装やアクションなどもあり、展開がスリリングです。いくつもの謎が結び付きながら、「法で裁けない犯罪をどうするか」というところに物語のテーマがありそうです。
 

温和な表情と冷淡な表情を巧みに使い分ける沢村一樹がみごと。『DOCTORS〜最強の名医〜』で見せた手腕とは違うゾクゾク感で新しい沢村一樹を見せています。たらい回しという名のもと、警察官としてのあらゆるスペックを身につけた刑事・田村を演じる平田満や、ちょっと憎らしい捜査一課の早川を演じるマギーもたまりません。
 

大人の闘い方をまっとうする潔さ
『刑事7人』(テレビ朝日系/水曜21時)

殉職あり、内部犯行あり……、今クールで第3シーズンを迎えた『刑事7人』の世界はシビアで容赦がありません。物語を通して演者の作品の底に流れる静かな情熱。熱血ではなく、ジワジワと伝わってくる強い思い。おじさん世代だからこその凄みが、そこにはあります。
 

胸にしみる吉田鋼太郎や北大路欣也ら貫禄世代の、熱い正義感と深い人生観。今シーズンから加わったクセの強い刑事・海老沢を演じているのは田辺誠一の今後にも注目です。
 

東山紀之演じる主人公の刑事・天樹悠は今シーズンからシニアグラスを愛用、小説のような描写にも好感が持てます。田辺画伯のユニークなイラストは公式HPから。
 

深夜にカラッと明るく楽しめる!
『探偵が早すぎる』(日本テレビ系/木曜23時59分)


 

登場人物が個性的すぎる『探偵が早すぎる』/出典:Amazon

遺産相続の争いに巻き込まれ、命を狙われる女子大生の十川一華(広瀬アリス)。彼女を守るよう依頼された探偵・千曲川光が繰り広げる痛快コメディ。
 

探偵を演じるのは、無神経な男、暴走する男、やさしすぎるお父さんなど演技の振り幅もすごければ、演技の振りきり方もすごい滝藤賢一です。今回は事件が起きる前に相手をやり込める凄技を、軽快にコミカルに見せてくれます。
 

一華を狙うのは大陀羅(だいだら)一族。悪だくみに明け暮れる一族を演じる片平なぎさと神保悟志の重々しさもなかなかの可笑しさです。
 

『正義のセ』で父親役の生瀬勝久と息の合った演技を見せた広瀬アリスは、おじさん世代との相性バツグン。今回も滝藤賢一との絶妙なキャッチ―ボールで楽しませてくれます。

 

遺留品から見える人生に胸が“熱く”なる
『遺留捜査』(テレビ朝日系/木曜20時)

人間ドラマに泣ける『遺留捜査』/出典:Amazon

小さなことにこだわりすぎてか、煙たがれる存在の刑事・糸村聡が遺留品から事件の謎を解き、さらに事件の背景にある哀しい真実に光をあてる『遺留捜査』。上川達也が穏やかで温かい雰囲気で、糸村をじっくり見せてくれます。
 

のほほんと、とぼけた感じで、科捜研の村木(甲本雅裕)に無理難題をお願いする名物シーンも健在。息の合った演技にホッとします。今シーズンから加わった昭和の刑事の匂いをまとう岩田(梶原善)も味わい深く、舞台となっている京都の夏も素敵です。

 

”もうすぐおじさん世代”が奮闘する夏ドラマも見逃せない!

おじさんと呼んでいいのか、悩みどころですが、『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』で東大卒の刑事を演じる小泉孝太郎、『サバイバル・ウェディング』で編集長の宇佐美博人を演じる伊勢谷友介も気になるところ。タイプは違うものの、個性的な毒を放ちドラマを盛り上げています。

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

注目の連載

  • 世界を知れば日本が見える

    韓国の戒厳令、尹大統領はなぜ突然「乱心」したのか。野党だけではない、北朝鮮とアメリカからの影響

  • ヒナタカの雑食系映画論

    独断と偏見で「2024年のホラー映画ランキング」を作成してみた。年末に映画館で見るならぜひ第3位を

  • ここがヘンだよ、ニッポン企業

    「あれは全て私がやりました!」 わが社の“承認欲求モンスター”をどう扱うべきか?

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅