ケガの影響が心配された香川、岡崎、乾もメンバー入り
サプライズのないことが、逆にサプライズだったかもしれない。
ロシアW杯に挑む日本代表のメンバーが、5月31日に発表された。
西野朗監督が作成した23人のリストには、ケガの回復具合が危惧されていたMF香川真司、FW岡崎慎司、FW乾貴士が含まれていた。香川と岡崎は30日に行なわれたガーナとのテストマッチに途中出場していたが、乾は21日スタートのキャンプから別メニュー調整が続いていた。ガーナ戦にも出場していない。
しかし、西野監督は「乾はガーナ戦もゲームに入ってこられる状態だったが、強引に起用することは避けた」と話し、順調に回復しているとの見通しを示した。香川と岡崎も含めた3人は、「6月19日のコロンビアとの初戦を、トップパフォーマンスで迎えられるかどうか」との選考基準をクリアしたのである。
MF本田圭佑もメンバー入りした。ガーナ戦では西野監督が新しいシステムにトライしたこともあり、久しぶりに彼らしいプレーが見られた。所属するパチューカは4月中にリーグ戦が終了し、試合間隔が空いていたものの、フィジカルコンディションにも問題がないことをアピールした。
W杯出場の立役者・浅野、井手口ら若手が落選…
一時はロシア行きを危ぶまれた本田や香川らが選ばれた一方で、落選の憂き目にあったのがFW浅野拓磨、MF井手口陽介、MF三竿健斗だ。26人から23人目の絞り込みで、彼ら3人が最終リストから漏れることになった。
日本がロシアW杯出場を決めた昨年8月のオーストラリア戦で、浅野は先制点を決めている。井手口は勝利を決定づける2点目をマークした。W杯出場の立役者と言っていいふたりの落選は、所属クラブで出場機会を得ていないことが理由である。浅野はドイツのシュツットガルトで、井手口は今冬に移籍したスペイン2部のクルトゥラル・レオネサで、ポジションをつかめずに実戦から遠ざかっていた。ケガこそしていないもののゲーム勘とゲーム体力に不安があり、西野監督は苦渋の選択として彼らを外したのだった。
三竿は鹿島アントラーズのレギュラー格だが、チーム全体のポジションバランスを考慮しての選外である。
浅野と井手口は、16年のリオ五輪に出場した。リオ五輪世代では、移籍1年目のポルトガルリーグで2ケタ得点を記録したFW中島翔哉、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督指揮下では主力だったFW久保裕也もロシア行きを逃している。三竿も同世代だ。
W杯の経験者が11人。彼らを選んだ理由
GK川島永嗣、DF長友佑都、MF長谷部誠、本田、FW岡崎の5人は、10年大会から3大会連続の出場となる。また、DF吉田麻也、酒井宏樹、酒井高徳、MF香川、山口蛍、FW大迫勇也の6人は、14年大会に続いて2大会連続である。経験と実績のある選手を選んだ意味で、西野監督の選考は「手堅い」印象を与える。西野監督が3年以上ぶりに代表へ呼び戻した青山敏弘(ケガで辞退)も、出場すれば2大会連続だった。
それもしかたのないことかもしれない。
西野監督の初陣となったガーナ戦を終えたチームは、6月3日からオーストリアでキャンプをスタートさせる。ロシア入りするのは13日で、それまでにスイス、パラグアイとテストマッチを消化するが、移動などがあるために練習時間は意外なほど少ない。19日のコロンビア戦までにみっちりと練習できるのは、10日にも満たないのである。
時間との戦いを制するには、すでにある武器を生かすのが効果的だ。
ハリルホジッチ前監督は4-3-3のシステムに軸足を置いてきた。システムの変更はほぼなかったから、国際経験の少ない若い選手でも迷わずにプレーすることができた。
一方で西野監督は、「色々な状況に対応できなければいけない」と話しており、システムにも幅を持たせている。そこで拠りどころとなるのは、長く培ってきたコンビネーションであり、国際舞台での経験や実績である。すなわちそれがすでにある武器であり、W杯の経験者が11人を数える理由と考えるのが妥当だ。
若手にあってベテランにないものもあるから、浅野や井手口の落選にも反対意見はあるだろう。ただ、すべての人が納得できる23人は、誰が監督でも作れない。西野監督が正しかったかどうかは、結果でのみ判断される。
<2018FIFAワールドカップロシア 日本代表>
◆メンバー
GK
川島永嗣(FCメス/フランス)
東口順昭(ガンバ大阪)
中村航輔(柏レイソル)
DF
長友佑都(ガラタサライSK/トルコ)
槙野智章(浦和レッズ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ/フランス)
酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)
昌子源(鹿島アントラーズ)
遠藤航(浦和レッズ)
植田直通(鹿島アントラーズ)
MF
長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
本田圭佑(CFパチューカ/メキシコ)
乾貴士(SDエイバル/スペイン)
香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)
山口蛍(セレッソ大阪)
原口元気 フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
柴崎岳(ヘタフェCF/スペイン)
大島僚太(川崎フロンターレ)
FW
岡崎慎司(レスター・シティー/イングランド)
大迫勇也(ベルダー・ブレーメン/ドイツ)
武藤嘉紀(1.FSVマインツ05/ドイツ)
◆スケジュール
国際親善試合
- 6月8日(金)19:00(日本時間:2:00) vs スイス代表
- 6月12日(火)15:05(日本時間:22:05) vs パラグアイ代表
ロシアW杯
- 6月19日(火)15:00(日本時間:21:00) vs コロンビア代表
- 6月24日(日)20:00(日本時間:24:00) vs セネガル代表
- 6月28日(木)17:00(日本時間:23:00) vs ポーランド代表