2人のW杯優勝経験者がJリーグ入り?

スペイン代表で一時代を築いてきたふたりのスーパースターが、この夏にJリーグへやってくるかもしれない。5月終了の17-18シーズンで所属クラブを退団することになったアンドレス・イニエスタとフェルナンド・トーレスの獲得に、Jリーグのクラブが乗り出しているとの報道があるのだ。
 

イニエスタ
バルセロナひと筋でプレーしてきたイニエスタ(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

アンドレス・イニエスタは1984年5月生まれで、今月11日に34歳となる。日本の学年なら84年1月生まれの長谷部誠(34歳)の一学年下に、85年2月生まれのクリスティアーノ・ロナウド(33歳)の同級生ということになる。サッカー界ではベテランと呼ばれる世代だ。
 

スペインの超名門FCバルセロナの育成組織出身のイニエスタは、02年10月のトップチームデビューからバルセロナひと筋でプレーしてきた。身体は小さいものの魔法のようなボールタッチで攻撃に違いを生み出すこのミッドフィールダーは、現在に至るまでチームの中核を担ってきた。
 

スペイン代表としても08年と12年の欧州選手権連覇、10年の南アフリカW杯優勝と、メジャートーナメントの獲得に貢献してきた。6月開幕のロシアW杯は、スペイン代表でプレーする最後の大舞台となる。
 

84年3月生まれのフェルナンド・トーレスも、スペイン代表に栄光をもたらしたひとりだ。クラブレベルではプロデビューを飾ったアトレティコ・マドリードをはじめ、イングランドやイタリアのビッグクラブでもプレーした。長身でしなやかな身のこなしのストライカーには、「エレガント」という表現が当てはまる。ルックスも抜群で女性の人気も高い。
 

なぜイニエスタとF・トーレスが日本へ?

トーレス
アトレティコ・マドリードを今シーズン限りで去るフェルナンド・トーレス(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

古巣のアトレティコ・マドリードを今シーズン限りで去るF・トーレスには、J1リーグのサガン鳥栖が関心を示しているとの報道がある。ここまで下位に沈む鳥栖が、得点力のあるFWを探しているのは事実だろう。
 

イニエスタについては、ヴィッセル神戸が興味を示していると伝えられている。ヴィッセル神戸の親会社である楽天が、バルセロナのユニフォームの胸スポンサーを務めている事実が、両者を結び付けるパイプに成り得る、との見立てだ。
 

MLSに中東、中国…第一線を退いたスーパースターの終着地は?

キャリアの第一線から退いたスーパースターの終着地として、近年のサッカー界で注目を集めているのはメジャーリーグサッカー(MLS)だ。かつてはデイビット・ベッカムが、つい最近では元スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモヴィッチが、アメリカとカナダを舞台とするMLSへ新天地を求めた。
 

ヨーロッパから見れば極東の日本や中国に比べて、アメリカは地理的にも心理的にもヨーロッパに近い。英語が通じるので、コミュニケーションにも困らない。会話に不自由を感じないのは選手だけでなく、選手の家族にも共通する。家族が快適に生活できるかどうかは、サッカー選手が移籍先を決める条件のひとつだ。
 

環境面でリードするのはアメリカだが、サラリーでは中東や中国のクラブが優位に立つ。一時の勢いこそ失ったものの、オイルマネーとチャイナマネーは高額のオファーを保証する。最近では元オランダ代表のウェスレイ・スナイデルが、1月にカタールのクラブと契約した。同じタイミングで中国にも、アルゼンチン、スペイン、ベルギーなどの代表選手が移籍を果たしている。
 

外国人が感じるJリーグの魅力とは?

ならば、日本=Jリーグの強みは何か。
 

しっかりと組織されたリーグ運営は、世界に誇れるものだ。試合のスケジュールが直前で変更されたりすることがなく、キックオフ時間がきちんと守られるJリーグは、選手に余分なストレスを与えない。
 

サッカーの歴史が長い欧州は、その必然としてクラブハウスやスタジアムが老朽化していることがある。それに比べれば、Jリーグのクラブハウスはどこへ出しても恥ずかしくない。
 

日本のホスピタリティと治安の良さも、外国人選手にJリーグを選択させる理由と成り得る。さらに、選手はもちろん家族への手厚いケアは、Jリーグのクラブがセールスポイントにできるものだ。
 

もっとも重要な競技力については、中東各国のリーグや中国を上回っていると言って差し支えない。Jリーグに対してもっとも厳しい眼を向けているのは、他でもない日本人かもしれないのだ。
 

Jリーグには誇れるものがある。
 

あとは、各クラブは本気になるか。イニエスタやF・トーレスを、本気で迎え入れるつもりがあるのかどうかだ。獲れるか、獲れないかではなく、獲得に動くことが重要だと思うのである。