平成30年版ガイドラインが改訂。そのポイントは?

人生の最終段階には、がんの末期のように、予後が数日から長くとも2~3カ月と予測ができる場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数カ月から数年にかけ死を迎える場合などがあります。こうした「人生の最終段階」の医療ケアについての在り方を定める「人生の最終段階における医療ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が今年3月、改訂されました。
 

改訂は「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」で検討・決定されたもの。同検討会によって、このガイドラインは人生の最終段階に関わる医療・介護従事者が、本人や家族などを支えるために活用するのものであるという位置づけがあらためて確認されました。
 

ちなみに、平成27年3月には、最期まで本人の生き方(=人生)を尊重し、医療・ケアの提供について検討することが重要であることから、「終末期医療」から「人生の最終段階における医療」へと名称の変更が行われました。今年3月に改正されたガイドラインでは、どのような状態が人生の最終段階であるかは、本人の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄だと捉えています。
 

改訂では、以下の3点から、文言の変更や解釈の追加などが行われました。

  1. 本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針についての話し合いは「繰り返すことが重要」との点を強調すること
  2. 本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、その場合に本人の意思を推定しうる家族など信頼できる人も含めて、事前に繰り返し話し合っておくことが重要であること
  3. 病院だけでなく介護施設・在宅の現場も想定したガイドラインとなるよう、配慮すること

  

アドバンス・ケア・プラニングとは

今年3月、ガイドラインの改訂がなされた背景には、高齢多死社会が進み、在宅や施設において療養や看取りのニーズが増大していることが挙げられます。
 

また、近年では諸外国で普及しつつある「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の概念を盛り込み、日本の医療・介護現場に普及をはかることを目的としています。
 

このACPとは、どのようなことなのでしょうか。
 

さまざまな定義がなされているようですが、共通した見解をまとめると「今後の医療や療養の場所などの希望について患者・家族などと繰り返し話し合い、その経緯を共有するプロセス」のことです。
 

1995年ぐらいからアメリカを中心に広がり、現在では欧米やオーストラリアなど医療先進国を中心に活動が広まっています。
 

医師のACPの認知度は約2割

昨今、「エンディングノート」なども普及してきましたが、エンディングノートはACPの一部ではあっても、すべてではないことがわかるでしょう。なぜならACPは話し合うこと、共有することが必要だからです。医療提供者が多忙な環境にあることもあり、この話し合いが難しく、現在、我が国では充分になされていないのが実状です。
 

海外の研究では「事前指示書を作成するだけでは、患者・家族の満足度は変わらない」という報告がありました。
 

日本でACPを広げるためには、まず医師、看護師などの医療提供者がその概念を理解し、知識を得ることが必要で、加えて、コミュニケーション能力の向上といったスキルアップや教育面も課題となるでしょう。
 

ちなみに、2017年12月に調査が行われた意識調査では、ACPについて「よく知っている」と回答した医師は約2割のみでした(厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査」より)。人生の最終段階におけるよりよき医療の実現に向けて、現場の体制整備が積極的になされていくことを期待します。