クラブワーストタイの成績が引き金に…2シーズン連続の監督交代劇
サッカーJ1リーグの浦和レッズが、リーグ戦5試合を終えた段階で堀孝史監督を解任した。開幕から2分3敗と勝ち星がないのはクラブワーストタイで、18チーム中17位に低迷していることが理由だ。指揮官の交代劇は、今シーズンのJリーグで初めてである。
それにしても、34試合のリーグ戦が5試合を終えた段階である。浦和の監督交代は早いのか? 前監督にもう少し猶予を与えても良かったのか? 過去の監督交代に照らして、今回のケースを検証してみる。
過去5シーズンで1番早く監督交代に踏み切ったクラブは?
監督交代のきっかけは、成績不振がほとんどだ。「優勝争いに絡めていない」とか「このままではJ2に降格してしまう」といった理由で、各クラブのフロントは決断に踏み切る。
過去5シーズンのJ1リーグを振り返ると、もっとも早い監督交代は16年の柏レイソルだ。ブラジル人のミルトン・メンデス監督が、リーグ戦3試合を終えてクラブを去った。家族が健康上の問題を抱えたことが理由だった。ちなみに、成績も1分2敗といまひとつだった。
その次に早いケースは、14年のベガルタ仙台に見られる。オーストラリア人のグラハム・アーノルド監督が、リーグ戦6試合を終えたところで退任した。2分4敗と勝ち星がなかったため、クラブが打開策を講じたのだった。
3番目は13年のジュビロ磐田で、森下仁志監督が9節終了時で退任した。チームは1勝2分6敗の17位に低迷していたため、方向転換が必要だったのだろう。
早めの手当てが失敗したケースも……
では、3チームのその後はどうだったのか。
下平隆宏ヘッドコーチを監督に昇格させた16年の柏は、第1ステージで7位まで盛り返し、第2ステージでは5位に食い込んだ。年間順位でも、前年の10位から8位まで順位を上げた。
14年の仙台も渡邉晋監督のもとでチームを立て直し、前年の13位とほぼ同じ14位でフィニッシュしている。こちららもヘッドコーチからの内部昇格だった。
一方、13年の磐田は低迷から抜け出せなかった。長澤徹ヘッドコーチを暫定監督に据え、その後は関塚隆監督を招へいしたが、クラブ初のJ2降格の憂き目に遭ってしまったのである。
暫定監督のもとでチームが上向いた場合は?
堀孝史監督を5試合で解任した浦和は、育成組織に携わっていた大槻毅監督が暫定的に指揮を執ることになった。6月開幕のロシアW杯開催に伴い、J1リーグは5月中旬まで週2試合のペースで連戦が続く。このままズルズルと後退しないために、早めに手当てをしたと考えられる。もちろん、その結果が吉と出るか凶と出るのかは、シーズン終了を待たなければならない。
クラブは並行して後任人事を進め、W杯開催に伴う中断期間中に新監督のもとでチームを再構築する、との情報もある。しかし、暫定監督のもとでチーム状態が上向いていった場合はどうするのだろう。それでも、新たな監督を招き入れるのかどうは気になるポイントだ。
フロントの判断は最終的な成績によって評価されるが、シーズン途中の監督交代は昨年に続いて2シーズン連続だ。その責任は監督や選手だけでなく、フロントも負わなければならない。Jリーグ屈指のビッグクラブの今後が注目される。